保存効力試験は、微生物を用いて点眼薬や化粧品など、多回投与容器中に充填された製剤、または製剤に添加された保存剤(防腐剤)の効力を評価する試験法です。
保存剤は、それ自体が有毒であることが多いことから、ヒトへの安全性を確保する必要がある一方で、時間経過に伴う製品中の生菌数の増加をなるべく抑えなければなりません。また、保存剤の性質として、共存する成分により不活性化を受ける場合があることや、保存剤の種類により抗菌スペクトルが異なる点があります。このため、保存剤単体、或いはこれを用いた製剤の処方設計段階において、その添加量を可能な限り少なくするための検討試験が非常に重要であり、製品を「保存効力試験法」で評価することが必要となってきます。
保存効力試験の試験手順については日本薬局方に記載されており、製剤または製剤に添加される保存剤単体に試験の対象となる5つの試験菌種(大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ及びクロコウジカビ)の菌液または胞子浮遊液をそれぞれ接種し、試験菌の経時的な消長を追跡することにより、保存効力の有無を評価する試験です。この試験にて保存効力の有無を判定する基準は製剤の区分ごとに設定されており、また、接種する試験菌種は製剤の製造、使用・保存中にヒトや環境から混入する恐れのある代表的な日和見感染病原体です。これらの指定菌種に加えて、実際の製造現場や製剤そのものの性質などを考慮し、混入、増殖の可能性がある微生物を試験菌株として試験を行うことも重要となってきます。
保存効力試験の詳細については、弊財団メールマガジンにて過去に取り上げているため、更に詳細な情報に関しては以下のURLの記事を参照下さい。
「保存効力試験について」
(財)食品分析開発センターSUNATEC 微生物検査室室長 吉田篤史 |