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2011年新年号 年頭ごあいさつ(松阪牛の信頼確保の取組)
財団法人食品分析開発センターSUNATEC理事長 庄司正
 SUNATECメールマガジン読者の皆様、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
  さて、昨年の年明けは、2009年に発生した新型インフルエンザ(AH1pdm)の流行が続き、また例年より多いノロウイルス食中毒発生が続きました。これらが終息し4月になると、今度は宮崎県で家畜伝染病である口蹄疫が発生、数ヶ月にわたりすさまじい感染拡大とその防疫対策が繰り広げられました。まさに最強の伝播力を有するといわれる口蹄疫ウイルスの脅威がどんなものであるのか、家畜伝染病が国家の危機管理の重要な問題に発展することを見せつけられました。そして、年末になると韓国で再び口蹄疫の発生・拡大、また、島根県の養鶏場における高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の発生があり、家畜防疫は予断を許さない厳しい状況が続いています。人では感染性胃腸炎の流行によってノロウイルスの感染予防が叫ばれ、年が明けた今も注意喚起が続いています。21世紀はウイルスの脅威が問題となる時代といわれて11年、まさにその様相を呈しているといえます。
 しかし、幸なことに、これらの大きな感染症報道にもかかわらず、これまでのように牛肉や鶏卵等に関する風評被害はほとんど発生せず、流通も消費者も冷静な判断と行動を取ることができました。これはなぜなのでしょうか。単なる慣れなのでしょうか。
 小生は、昨年同号で述べた食品安全確保に関する信頼の仕組みの成果、そして消費者の学習による知性の蓄積によるものと考えています。消費者の信頼を大きく失墜させたBSE問題や牛肉偽装事件から10年目、ようやく回復した信頼を確固としたものにしていくために何が求められているのか。文末に紹介する2人の著者が、人の行動を分析した社会心理学の立場で興味ある知見を語っています。
 食品事業者にとって消費者の高い信頼を得続けること、これはエンドレスのテーマですが、小生が関わってきた松阪牛の信頼確保の取組をレポートすることで、実践例を通して消費者の信頼について考えてみました。  SUNATECにおきましても、「信頼される分析技術とその関連サービスを通じて社会に貢献する」を基本理念として、様々な改革・改善に取り組んでいます。特に、NPS(The New Production System)をベースにした独自の改善方式であるSPS(SUNATEC Production System)を推進し、分析技術を常に深化(進化)させ、全員参加による業務効率化を行っています。また、男女共同参画など健全な職場風土を目指す活動によって、昨秋には三重県の「男女がいきいきと働いている企業」として認証を受け、三重県知事から奨励賞表彰が授与されました。これらを糧として、本年もさらに信頼されるSUNATECに向けて取り組んでまいります。
 本年が皆様にとって最良の年でありますことを心よりご祈念して新年のご挨拶とさせていただきます。
松阪牛の信頼確保の取組
参考文献
(1)「安心社会から信頼社会へ −日本型システムの行方」山岸俊男、中公新書2004年(第3版)
(2)「安全。でも、安心できない・・・信頼をめぐる心理学」中谷内一也、ちくま新書2008年
(3)NPS研究会HP  ※http://www.nps-kenkyukai.jp/index.htm
(4)2010年メールマガジン新年号 年頭のご挨拶 (安心社会から信頼社会へ)
   アドレス:http://www.mac.or.jp/mail/100101/03.shtml
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