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![]() 食事によるポリフェノールはどこまで効能があるのか
![]() 修文大学 健康栄養学部
准教授 丹羽 利夫 1.ポリフェノールとは食品には生命を維持するための一次機能、香りや味を楽しむ二次機能、さらにはからだを健康に保つための三次機能があるとされています。この食品の三次機能を示すものとして近年、いわゆるポリフェノールが注目されています。 2.緑茶われわれ日本人は子供のころから緑茶に親しんでいることもあり、緑茶が嫌いという人は少ないと思いますが、海外では「家畜の餌である牧草のにおいがする」ということからかつてはあまり飲む人はいなかったそうです。しかしながら近年シリコンバレーなどでは緑茶が人気だそうです。その理由としてはもちろん和食ブームやクールジャパンあるいは国内緑茶メーカー各社の努力があると思いますが、緑茶に含まれる「カテキン」の、がんやアルツハイマー病をはじめとした様々な疾病予防効果が、作用機序を含めて明らかにされてきたことがあります。
3.大豆大豆もわれわれ日本人にとってはなじみの深い食品ですが、実は大豆も緑茶と同様、海外ではあまり食べられない食材でした。特に欧米では大豆イコール家畜の飼料という認識がされていたそうです。しかしながら大豆についても近年、その機能性が明らかになるにつれ海外での消費が拡大しているようです。実際「tofu」は海外でも通用するそうですし、「kikkoman」といえば醤油が出てくるそうです。 4.カレー最後にカレーですが、カレーに入っているクルクミン(Fig. 1)は我が国においてはその知名度において市民権を得たといってもいいのではないでしょうか。特にお酒をよく飲む方は脳裏にあのボトルが思い浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際に飲む前に飲むと次の日がまるで違うなどという意見も耳にします。とはいえ、過信して飲みすぎては本末転倒ですので、ほどほどに。 5.ポリフェノールの生体での効能最後に、このようなポリフェノールをはじめとする食品の効能について考えたいと思います。いまさらという気もしますが、上述のようなポリフェノールの機能はどのようにして明らかにされたのでしょうか。大きく分けて以下のようなものがあります。 「食事によるポリフェノールはどこまで効能があるのか」というテーマに否定的なことを多く書いたような気がしますが、私自身その効能をすべて否定しているわけではなく、まだまだ不明な点・解明しなければいけない点が数多く残されているということをお伝えしたいのです。そういった科学的な視点とともに、マスコミには「これを食べればカンタンに~できる」といったアイキャッチがあふれていますが、運動も含めた生活環境全般を改善しなければならないことはいうまでもありません。 参考文献Albena et al., Relation of structure of curcumin analogs to their potencies as inducers of phase 2 detoxification enzymes. Carcinogenesis, 20, 911 (1999). Bernald et al., Curcumin-cross-links cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR) polypeptides and potentiates CFTR channel activity by distinct mechanisms. J. Biol. Chem., 284, 30754 (2009). Ehrnhoefer et al., EGCG redirects amyloidogenic polypeptides into unstructured, off-pathway oligomers. Nat. Struct. Mol. Biol., 15, 558 (2008). Hassaninasab et al., Discovery of the curcumin metabolic pathway involving a unique enzyme in an intestinal microorganism. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 5462 (2011). Herath et al., Microbial metabolism. Part7: Curcumin. Nat. Prod. Res., 21, 444 (2007). Jiang et al., Mechanisms enforcing the estrogen receptor β selectivity of botanical estrogens. FASEB J., 27, 4406 (2013). Niwa et al., Reduction of leptin secretion by soy isoflavonoids in murine adipocytes in vitro. Phytochem. Lett., 3, 122 (2010). Niwa et al., Stereochemical determination of O-desmethylangolensin produced from daidzein. Food Chem., 171, 153 (2015). Okuda et al., Design and synthesis of curcumin derivatives as tau and amyloid β dual aggregation inhibitors. Bioorg. Med. Chem. Lett., 26, 5024 (2016). Takagaki and Nanjo, Metabolism of (−)-epigallocatechin gallate by rat intestinal flora. J. Agric. Food Chem., 58, 1313 (2010). 略歴丹羽 利夫(にわ としお) サナテックメールマガジンへのご意見・ご感想を〈e-magazine@mac.or.jp〉までお寄せください。 |
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