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![]() 総アフラトキシン試験法について
![]() 一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
第二理化学検査室 1.はじめにアフラトキシンとは亜熱帯地域に生息するAspergillus属に分類される一部のカビが産生するマイコトキシン(カビ毒)である。アフラトキシンには10種類以上の化合物があるが、毒性や毒力からみて食品衛生上、重要なものはアフラトキシンB1、B2、G1、及びG2である。アフラトキシンを生産するカビは高温多湿な気候で繁殖しやすく、アフラトキシンの主な汚染食品はとうもろこし、落花生、豆類、香辛料、木の実類や一部の穀類である。これらの食品の多くはアフラトキシンを生産するカビが好む気候で育てられており、日本はこれらの食品のほとんどを輸入品に頼っているのが現状である。また、アフラトキシンは熱耐性を有し、通常の加工・調理工程ではほとんど分解されないため、汚染された食品から除去するのは困難である。アフラトキシンによる健康被害を防止するためには、精度の高い分析によって食品中のアフラトキシン汚染を監視することが重要となる。 2.総アフラトキシン試験法の概要総アフラトキシン試験法の概要を図1に示した。均一化した試料をメタノールまたはアセトニトリルを用いて抽出する。精製には逆相樹脂、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂の混合物が充填された多機能カラムを用いる方法、及びアフラトキシン特異抗体を結合させた樹脂が充填されたイムノアフィニティカラムを用いる方法が示されている。測定機器として蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC-FL)もしくは液体クロマトグラフ-質量分析計(LC-MS又はLC-MS/MS)を用い、前者で定量、後者で確認する方法である。HPLC-FLで測定する場合は誘導体化が必要となる。定量限界は各アフラトキシンにおいて1.0μg/kgである。試験法では、LC-MS又はLC-MS/MS により各アフラトキシンを定量することもできるが、定量に際しては、内標準物質の添加又はブランク試料溶液を用いた検量線の作成等、定量性を十分確保して行う旨の注釈があり、定量性が担保されれば、LC-MS(/MS)法での定量が可能である。 ![]() ![]() 図1. 総アフラトキシン試験法の概要 3.おわりにアフラトキシンを含めマイコトキシンは発がん性を有する物質が多いため、様々な国で規制対象となっている。日本では食品中の汚染実態調査が進められており、今後、他のマイコトキシンに対しても新たな規制が設けられることが予測される。カビ毒は非意図的な汚染のため管理が困難である。そのため精度が高く、かつ迅速に検査できる分析法を用いて汚染状況を常に監視することが重要であると考えられる。 参考文献1. 環食第128号「カビ毒(アフラトキシン)を含有する食品の取扱いについて」 2. 食安発0331第5号「アフラトキシンを含有する食品の取扱いについて」 3. 食安発0816第1号「総アフラトキシンの試験法について」 4. 当財団メールマガジンvol.052(2010):http://www.mac.or.jp/mail/100701/01.shtml サナテックメールマガジンへのご意見・ご感想を〈e-magazine@mac.or.jp〉までお寄せください。 |
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