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![]() 微量必須元素としてのモリブデン
![]() 一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
第一理化学検査室 ミネラルは、生体内で骨や歯などの組織を形成したり、生命活動に欠くことのできない代謝調整作用と密接な関係を持っています。しかしながら、ミネラルは体内では合成することができないため、食品や飲料から摂取していますが、インスタント食品やファーストフードなど、栄養の偏りやすい食生活ではミネラルが全般的に不足がちといわれています。
モリブデンとは モリブデンは、元素記号Moで表される銀白色の金属で、第六族元素に属します。工業的には金属素材としてだけでなく、ステンレスなどの合金鋼の添加元素としても利用されています。 生体内での働き生体内でモリブデンは亜硫酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼなどの補酵素中に存在しており、有害成分の無毒化、排泄など代謝に係る重要な役割を果たしています。先天的なモリブデン補欠因子欠損症では、脳の萎縮及び機能障害、尿酸の代謝障害、精神発達遅滞などが生じます。モリブデンの過剰摂取では、モリブデンと銅が拮抗関係にあり、銅が排出されて銅欠乏症を起こす可能性があります。 食事摂取基準モリブデンの食事摂取基準を表-2に示します。通常の食事であれば、モリブデンの摂取量は食事摂取基準推奨量よりも多くなりますが、耐容上限量は、日本人の摂取状況、アメリカにおけるヒトでの実験、ラットを用いた実験などから450〜600μg/日(9μg/kg/日)が参照値として策定されており、過剰症が問題になることはほとんどありません。 [厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2010年版)より]
モリブデンの分析方法 一般的な金属元素の分析と同様、モリブデンの分析においてもICP発光分析法やICP質量分析法が採用できます。特にICP質量分析法は食品中の超微量元素の分析が可能で、更に複数の元素を同時に測定することが可能であるため、幅広く使われるようになってきました。 参考文献1) 羽場宏光 監修 「イラスト図解 元素」 株式会社日東書院本社 サナテックメールマガジンへのご意見・ご感想を〈e-magazine@mac.or.jp〉までお寄せください。 |
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