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ミネラルの働きの中でまず思いつくものは,カルシウムやリンが骨の材料となっていることではないでしょうか。ミネラルにはこのような体の構成材料としてだけでなく、表-1に示すように身体のpHや浸透圧を調節、酵素やその他の生理活性物質の構成成分など様々な生理機能があります。しかしながら、現代人は食生活の欧米化、インスタント食品・ファーストフードの増加により、ミネラルが不足・偏りがちといわれています。ミネラルには体内における最適濃度範囲があり、不足あるいは過剰になった場合、様々な症状が見られます。不足したときに見られる症状(欠乏症)と過剰に摂取したときに見られる症状(過剰症)の例を表-2に示します。 |
生体には、体内中の元素の濃度をある範囲に保つような機構がありますが、その能力にも限界があります。また、拮抗作用といって、特定のミネラルだけを過剰に摂取すると他のミネラルの吸収を妨げたり体外への排出を促進したりします。そのため、私たちは日常の食事に気を配り、バランスよくミネラルを摂取する必要があるといえるでしょう。 |
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表-1 ミネラルの生理機能 |
生理機能 |
元素の例 |
生体組織の構成成分 |
骨・歯などの構成 |
カルシウム リン マグネシウム |
有機化合物と結合 |
ヘモグロビンの鉄 リン脂質のリン |
生体機能の調節 |
pH・浸透圧の調節 |
カリウム ナトリウム カルシウム リン マグネシウム |
神経・筋肉の興奮性の調節 |
カリウム ナトリウム カルシウム リン マグネシウム |
酵素の構成成分 |
マグネシウム 鉄 銅 亜鉛 マンガン セレン |
生理活性物質の構成成分 |
鉄 ヨウ素 亜鉛 モリブデン |
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表-2 ミネラルの欠乏症と過剰症 |
元素 |
過剰症 |
欠乏症 |
カルシウム |
Ca |
泌尿器系結石 ミルクアルカリ症候群 |
骨粗鬆症 歯・骨の発育不良 |
リン |
P |
Ca出納の不平衡 副甲状腺機能の亢進 |
骨軟化症 発育不全 |
マグネシウム |
Mg |
下痢 |
神経・精神疾患 不整脈 心疾患 |
鉄 |
Fe |
循環器障害 嘔吐 |
鉄欠乏性貧血 |
銅 |
Cu |
ウィルソン病 肝硬変 運動障害 神経障害 |
メンケス病 貧血
毛髪・皮膚の色の脱色 |
亜鉛 |
Zn |
鉄・銅の吸収阻害 めまい 吐き気 嘔吐 |
成長阻害 食欲不振 味覚障害
免疫能低下 創傷治癒障害 |
マンガン |
Mn |
神経・運動障害 パーキンソン病 |
骨格形成障害 生殖線機能障害
糖質・脂質代謝異常 |
カリウム |
K |
高カリウム血症 血圧低下 心不全 下痢 |
脱水感 食欲不振 吐き気 高血圧 |
ナトリウム |
Na |
高血圧 動脈硬化 心筋疾患 胃潰瘍 |
神経痛 精神異常 発熱 めまい |
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