財団法人 食品分析開発センター SUNATEC
HOME >牛生レバーを食べるには(食肉を生食する消費者の覚悟、提供する営業者の責任)

牛生レバーを食べるには(食肉を生食する消費者の覚悟、提供する営業者の責任)

 

財団法人食品分析開発センターSUNATEC理事長 庄司正
「動物の臓器を生食するのは愚の骨頂だ。腸管に生息する食中毒菌に感染するリスクだけではない。プリオンや未知のウイルスなど将来何年も経ってから発病するリスクもある。」と焼肉店で一人のプリオン研究者から小生は注意されたことがある。1995年3月のことである。その1年後の1996年3月、英国で若い人々に発生する変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の原因は、BSE(牛海綿状脳症)の原因物質であるプリオンが人に感染した可能性を否定できないことが公表された。
 また、日本でも1996年初夏から腸管出血性大腸菌O157食中毒が、世界で例を見ない規模で大流行したことはまだ記憶に新しい。その後2001年秋には日本でもBSE発生が確認され、またこの頃から豚レバーの生食によってE型肝炎ウイルス感染症が報告されるようになった。小生は1995年以降牛レバーの生食はしていないが、これまでの食肉関連の様相は、プリオン研究者の指摘どおりの結果となってしまった。

正常化の偏見にとらわれる

今年4月27日に発覚したユッケを原因食品とする腸管出血性大腸菌O111食中毒事件が大きな社会問題となり、食肉の生食対策と自粛が叫ばれている。1996年以降これで何度目の注意喚起になるのだろうか。また、食肉の生食提供施設の緊急監視が全国一斉に実施され、自治体ごとにその結果が公表され始めた。衛生基準に適合している施設は少ない実態が明らかになり、また食中毒の発生も止まらない。三重県感染症情報センターの発信するニュースの一部を紹介しよう。このことを如実に知ることができるし、このメルマガ原稿につながったきっかけともなったニュースである。
これほど食肉の生食による健康被害リスクが何度も叫ばれても、食品営業者も消費者もリスクをあまり感じない人が少なくない。たぶん日本人の魚介類の生食文化のなせることだろう。鮮度のいいものはとにかく刺身で食べてみたい人々が多い。「あの事件はひどすぎる、例外だ。うちに限っては大丈夫だ。いつも食べているこの店は大丈夫だ、これまで何もなかった!」と、営業者も消費者も自分を正当化するいわゆる「正常化の偏見」に陥りやすいものだ。
 しかし全く違うのだ。腸管出血性大腸菌やカンピロバクターは、食品に付着した少量の菌で食中毒を引き起こすのである。リスクである付着状況は、その処理プロセスで決まり、鮮度とは本来関係がない。むしろ鮮度がいいから食中毒菌も感染力が強い、元気だと考えるべきだ。安全性は、衛生基準に照合して判断されるもの。生食しても食中毒に遭遇しなかった消費者も提供した営業者もこれまで運が良かっただけの話である。
 行政と食品衛生協会は食肉の生食の高いリスクを啓蒙し、営業者に生食として提供しないよう注意喚起してきた。また、全国の食肉センターもBSE対策と枝肉のO157対策にかなり取り組んできた。しかしながら、腸管出血性大腸菌による食中毒発生数も感染症報告数も減少していない、むしろ増加傾向にあるのは、営業者と消費者の正常化の偏見によるものと小生は考えている。
 このような社会状況下において、牛生レバーを事例として、生食用食肉の衛生基準(腸管出血性大腸菌対策、特にO157)の意味について、食肉生産のプロセスを紹介しながら現場サイドから考えていきたい。

汚染源:O157は牛の腸管に生息する

血清型O157、O26、O111など腸管出血性大腸菌が生息しているのは、反芻動物の腸管である。日本の代表的な食肉用の反芻動物は牛であり、牧場によりO157の保有率は異なるが10%程度と言われている。小生の経験でも100頭の牛糞を調べ4頭からO157を分離した。もちろん毒素産生株である。O157は、牛に病原性はなく腸内細菌の一つとして存在している。O157の汚染源は、あくまでも牛の腸管内容物と外に出た糞便である。
 ちなみに、感受性の高い保育園児などが観光牧場等でO157に感染する事例がある。牛の体表に直接触れ合うだけでなく、牧柵等に付着した糞便中のO157が手指等を介して子どもに経口感染したと考えられる。手袋着用や接触後の手洗い・消毒で防ぐことができる。

枝肉のO157汚染と食肉センターの取組

食用に供するために、牛はと畜場(食肉センター)でと畜・解体され、可食部である枝肉、可食内臓と不可食部である皮、血液、残渣等に分けられる。枝肉は食肉処理業者や食肉販売業者によって精肉として提供され、内臓は内臓業者によって焼肉店等に提供されていく。詳細はスライドを参考にされたい。
上記で述べたようにO157が存在するのは牛の腸管と糞便汚染された体表である。従って枝肉は、食肉センターの剥皮や内臓摘出等のと畜・解体プロセスでO157汚染を受けることになる。そのためにと畜・解体プロセスでは、法律によってその汚染を受けない施設・器具の衛生管理及びと畜・解体の衛生手順の遵守が義務付けられている。松阪牛を処理する三重県松阪食肉流通センターでは、2002年から「モウモウ運動」が展開され、食肉関係者が一丸となってO157対策に取り組んできた。
 その結果、枝肉表面が理論上O157の汚染確率0%である一般細菌数1000個未満・大腸菌群陰性/cm2を目標とし、年間目標100%を5年前に達成した。今度は更に高い目標である理論上の大腸菌汚染確率0%である一般細菌数100個未満/cm2の目標に取り組み、2010年度で95%まで実現している。
 このような牛枝肉では、食肉処理における脱骨・脱脂・筋引きなどが衛生的に行われ、更にブロック表面のトリミングが実施されれば、牛肉は一般細菌数300個未満/g、糞便系大腸菌群陰性/gが確実となる。生食の衛生基準をクリア―することができるだけでなく、消費期限も大幅に延長することができるのである。
 まさに食肉センターのと畜・解体プロセスこそが最も重要な食肉のO157対策であり、高品質な牛肉を生産する要である。多くの組織と人々が作業にかかわるだけに食肉センターの衛生対策は難しいのも事実である。しかし、それゆえにこのような対策を確実に行っている食肉センターが評価され、選ばれる時代に早くなってほしい。かつてモウモウ運動を展開した一人として切に願っている。

100%汚染の宿命:内臓のO157汚染と他の食品への汚染源

くどいようだが、O157の汚染源は牛腸管の内容物である。内容物の漏出防止と剥皮工程における体表からの糞便汚染防止を確実に行うことで枝肉の衛生は確保することができることを前記で述べた。しかし、腸管を割いてO157の生息する内容物を洗い流す内臓の処理過程においては、O157汚染は決して免れない。O157の平均保有率を10%と仮定するならば、1日に10頭以上処理する食肉センターの内臓処理では、理論上100%のO157汚染を受けることになる。胃や腸の内容物を洗い流す一次処理、それらを部位別に更に洗浄する二次処理をしても、消化管粘膜上皮の大腸菌を取り除くことは不可能である。二次処理した腸管1g当たりの大腸菌数を検査したことがあるが、数千個程度のすごい数字であったことを憶えている。
 従って、業界用語で「白もん(しろもん)」と呼ばれる胃・腸のホルモンは、必ず良く焼くかモツ鍋のように加熱調理して食べる以外に安全性は全く担保されない食材である。このことを営業者も消費者もまず肝に銘じなければならない。
 そして白もんは、他の食材の強力な汚染源となることである。100%O157汚染のリスクのある白もんのタレ揉みをした者が、その手でサラダなど生食する食材や非加熱食品を絶対に触ってはいけない。白もんは特別な食材として扱い、その容器等は熱湯で確実に殺菌しなければいけないのだ。消費者も白もんをコンロに載せる箸と焼けてから食べる箸を一緒にすると、O157のついたタレを食べることになってしまう。焼肉店は最初から消費者に2本の箸を用意するか、またトング利用などによって明確に区別し説明すべきだ。
 白もんの処理状況をスライドで紹介しよう。内臓業者の細かい手作業によって今日のホルモン食文化が支えられている。また、施設の衛生管理やクローラ水によるホルモンの殺菌など内臓業者もそのリスク軽減に出来る限り努力している。しかし、前述したように、白もんは確実に加熱調理する必要性があることを営業者も消費者もしっかりと認識してほしいものだ。

コーヒーブレイク、牛の体内とは

本来、動物の口から肛門までは1本の管(消化管)であって管の内側は体外、管の外側が体内である。管の内側には天文学的な数の微生物が生息し、牛の場合はその中に一定の比率で腸管出血性大腸菌も存在している。しかし、健康な動物であれば免疫系によって体内は無菌状態が維持され、と畜前は内臓も筋肉も本来全てが無菌状態なのである。
 従って、もし牛のと畜・解体プロセスを無菌的に行うことができれば、枝肉も各臓器も無菌のまま取り出すことができるはずである。しかも、肝臓や心臓は単独臓器であるので、取り出し後の処理・加工工程を無菌的に行えば、無菌の肝臓(レバー)と心臓(ハツ)料理を提供することが理論的には可能となる。
 無菌のための手順は非現実的であったとしても、腸管出血性大腸菌等の病原微生物を付着させないためのと畜・解体作業を行い、また、この作業では表面が汚染されるので、病原微生物汚染のリスクの高い表層部分を無菌的に取り除く(トリミング)ことによって、生食用として提供することは可能である。取り除けているかどうかは、糞便系大腸菌群等の汚染指標菌の定期的な検査結果で確認・評価することができる。
 しかし、人はミスを犯すし、トラブルも発生するので100%確実に行うのは不可能である。そのために危機管理対策として、免疫学的に弱い状態の消費者(健康を害している人、乳幼児・子供、高齢者等)には絶対に食べさせないこととする。これが平成10年厚生省通知「生食用食肉等の安全確保について」、「生食用食肉の衛生基準」のポイントである。
 これができなければ、生食用として提供することは禁止されて当たり前だが、前述の食肉の生食提供施設の緊急監視では、大半ができていなかったのが実態である。
小生は、焼肉・ホルモン店によく通っている。いつも最初にタン塩を食べる。涙が出そうになるほど美味しいタンに出会うことがある。そのための酢橘の絞り汁を1年分冷凍庫で確保している。次にホホ肉と並ホルモン(大・小腸、ミノ、アカジ、レバー、ハツなど混ざったもの)を焼いて食べる。もちろんコンロにホルモンを載せるための箸と焼きあがった物を口に運ぶ箸は区別している。特産松阪牛独特の脂と味噌ダレが炭火で焦げた香りとホルモンの味は最高で、ビールが進む。野菜も焼いて食べる。小生はリスク管理の観点からも焼肉店においては、生レバーや生センマイはもちろん、サラダなど非加熱摂取の食品も食べないことにしている。

肝臓(レバー)・心臓(ハツ)のO157汚染

上記白もん以外にも、ホルモンとして流通するものに、肝臓(レバー)、心臓(ハツ)、舌(タン)、咬筋(頬肉、ホホ)、そして胸腔と腹腔を隔てる横隔膜(ハラミ)・縦隔膜(サガリ)がある。これらを業界では「赤もん」と呼び、胃・腸のホルモンである白もんと区別している。横隔膜と縦隔膜は、枝肉から切り取って内臓肉として流通する場合と枝肉のまま流通する場合がある。松阪食肉流通センターは後者である。
 赤もんの特徴は、消化管内容物と接していない臓器ということだ。細心の注意を払えば腸管内容物に汚染されずに取り出すことが可能である。但し、舌は口腔から咽喉頭部にあるので頭部切除の際に第1胃の内容物汚染のリスクがあるし、牛は舌で体表や環境を嘗め回す習性がある。また、未処理の舌や内臓として扱われた横隔膜、縦隔膜もO157汚染のリスクが高いので他の食材を汚染させない特別の注意が必要である。
 赤もんは通常焼いて食されるが、牛の肝臓(レバー)と心臓は生食されることがある。上記衛生基準に示されているように、まず食肉センターで肝臓・心臓は特別扱いされていなければならない。松阪食肉流通センターでは、摘出後に吊り下げられたまま検査され、肝臓と心臓のみを処理する区画された専用の部屋に送られる。そこでは専任の職員がクローラ水(電解次亜水)で肝臓と心臓を表面殺菌し、すぐにビニール袋に入れる。更にビニール袋表面をクローラ水で殺菌後、1頭ごとにかごに入れ、クラッシュ氷を載せて冷蔵庫に運んで行く。体温38.5℃の牛の肝臓は、中心部が5℃以下になるのに11時間半以上が必要であるので、出荷は翌朝以降となる。
なお、前述の生食用食肉の衛生基準において、肝臓の処理として特別な規定がなされている。生レバーを提供する営業者は、仕入れた肝臓がこの条件を満たしていることを、自主検査も含めて確認することが絶対条件であるといいたい。
 食肉センター内ではO157対策で生食用レバーの条件を満たしても、その後の流通における衛生的取扱を担保することができない。従って、食肉センターの衛生的取扱いを監視指導する食肉衛生検査所も生食用出荷には合意できないでいるのが現状だ。

生レバーを食す消費者の覚悟と営業者の責任

健康な牛の肝臓は血液の多い栄養豊かな臓器である。本来無菌なので競合菌がいないが、このことは、逆に肝臓に病原微生物が付着し温度管理に問題が発生すると爆発的に増殖する培地と化すことを意味している。しかも肝臓の細胞は筋肉と違い自己融解が非常に早い。小生はかつて、10℃で肝臓を保存して72時間後まで組織切片でその細胞像を確認したことがある。肝細胞が正常なのは摘出されてから24時間後までだった。48時間後では一部の細胞が変性しグリコーゲン顆粒が消失し始めた。72時間後にはほとんどの細胞が変性していたのである。従って、衛生基準に適合したことが確認できて、なおかつと畜日の翌日までの肝臓のみが、品質も含め生食の第1条件といえる。そして、焼肉店では専用のコーナーで、専用のまな板包丁を使用して肝臓を調理しなければならない。その前の手洗い・消毒はもちろんである。これが第2の条件となる。
 さらに近年、牛の肝臓からカンピロバクターの分離報告(11.4%)があり、現実に牛レバーによるカンピロバクター食中毒も発生している。カンピロバクタ―非汚染が生食の第3条件だが、肝臓自体から分離されては対策の取り様がない。そして最初に述べた将来発見されるかもしれない未知の感染症のリスクがある。牛レバーを生食するには、消費者もそのリスクを自己責任として覚悟すること、営業者も消費者に対するその説明責任(安全確認、表示、食べ方、子ども等に食べさせないこと等)が求められている。最後に営業者には結果責任が課せられる。健康被害を起こせば行政処分は免れないのだ。食品営業には想定外のリスクがある限り、顧客のために食中毒保険(食品衛生協会の食品営業賠償共済)に加入し備えることが不可欠な条件となる。

腸管出血性大腸菌感染症と食中毒の原因

三重県感染症情報センターの協力を得て、腸管出血性大腸菌による食中毒患者等をにまとめたのでまず見ていただきたい。この表から分かることは、毎年腸管出血性大腸菌による食中毒が発生しているが、その10倍の感染症患者が発生し、死者も毎年数名が出ているという事実である。感染症予防法に基づいて、腸管出血性大腸菌感染症は「3類感染症」として診断した医師から保健所に届出され、その後の関連調査によってO157等が分離確認された有症者(65%)及び健康保菌者(35%)が報告数として集計されている。その中で疫学調査等によって、保健所が食品衛生法に基づき食中毒と判断したものが食中毒患者数である。(健康保菌者は発症していないので食中毒患者とはならない)
 感染症予防法に基づき感染症者が発生すると、行政はその事実と感染症予防対策を発生の都度公表している。しかし、発生事実は報道されるが予防対策はほとんど報道されないのでこの事実を知っている営業者も少ないだろう。どのように公表されているのか実例として三重県感染症情報センターのホームページにアクセスしてほしい。「報道発表」メニューから入り「腸管出血性大腸菌」をクリックすると、O26、O157等の公表データが並んでいる。 O157の2011年一番新しい「NEW」の点滅情報をクリックして内容を確認すると、個人情報は保護されているが、臨床経過などをよく理解することができる。また、新着情報欄には全国感染症発生状況の最新週報がアップされ、全国の最新の発生状況及び年累計を知ることができる。素晴らしいサービスだ。
 ※原稿〆切の前日(6月19日)、三重県で死亡した3歳の保育園児が、その後の検査結果からO157感染症であったことが判明し、医師から患者診断届出があったとプレスされた。原因調査は始まったばかりだが、食品との関連など感染原因は徹底究明されるだろう。

予防対策の中に見える真の原因

そして最も重要な鍵は、感染予防対策【自分でできる対策】欄である。ちなみにO111食中毒発生となった富山県感染症情報センターの感染症発生動向速報インフォーメーションで、焼肉を安全に楽しむポイントも紹介しよう。(別紙)
 確かに腸管出血性大腸菌は感染力が強く、患者や保菌者の糞便が食品以外のルートで人⇒人感染する事例など原因不明も少なくないと考えられるが、残念ながら感染原因や推定原因は公表されていない。しかし、別紙のような県民への注意喚起として述べられている行政の公表資料は、逆に考えると、「腸管出血性大腸菌感染症の原因は、肉やレバーの生食、内臓等の加熱不十分やその取扱衛生の問題が大部分である」と結論付けることが出来るのである。
 奇しくも全国一斉の生食用食肉を提供する飲食店、食肉処理・販売業の緊急監視が5月中に実施され、その全国集計結果が6月14日に公表された。食中毒や感染者の数と、飲食店営業の衛生基準不適合率51.8%の数字を見て、ハインリッヒの法則を思い出しスライドにまとめた。これらの不適合によって腸管出血性大腸菌感染者の大半が発生し、集団感染と原因食品の特定された事例が食中毒と判断されていると言えるのである。

牛からやってくるものに注意

腸管出血性大腸菌の産生する毒素は赤痢菌の出す毒素と同じであるが、細菌性赤痢の発生は非常に少ない。それは、赤痢の原因が患者の糞便に由来するのに対して、これまで述べたように腸管出血性大腸菌感染の主な原因は、牛肉、内臓及びこれらに汚染された食品由来であるからだ。100%の汚染リスクがあると考えるべき白もんの取扱と非加熱食品との交差汚染は絶対に防がねばならない。これは焼肉店に限らず、食肉処理・食肉販売店でも、また家庭においても全く同様である。また、赤もんは食肉センターでの扱いによってリスクレベルが決定される。特に肝臓のリスクは決定的で、生食には覚悟が必要だ。今回示した現場の内臓画像等はそのことをまず読者が十分理解し、焼肉店等で消費行動につなげてほしいと願い、紹介することとした。
 現在、厚生労働省において衛生基準の規格化が準備され、秋にも法規制が始まると聞いている。また、全国の保健所等では衛生基準が強く指導されている。今後、焼肉店等の川下の規制によって、それをクリアするために不可欠な川上(食肉センター)の対策もなおいっそう改善されるだろう。これからは、法に基づいてその適正管理が事業者の責任において行われ、行政のチェックを受けることとなる。食肉の生食の注意喚起もこれが最後となり、感染者が大幅に減少することを願いたいものだ。
 長編を最後まで読破されたメルマガ読者に感謝します。

謝辞

原稿作成にあたり、かつてモウモウ運動を一緒に取り組んでくれた多くの検査員、現在も衛生対策に頑張る松阪食肉衛生検査所及び三重県松阪食肉公社の皆さん、そしてホルモンの生産現場の貴重な作業の画像撮影に協力してくれた松阪臓器組合の皆さんに感謝します。また、腸管出血性大腸菌感染症の最新の発生件数等のデータ分析にご支援いただいた三重県感染症情報センターに深謝いたします。
参考文献

・厚生労働省腸管出血性大腸菌Q&A、カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)

・食品安全委員会食品健康影響評価のためのリスクプロファイル〜牛肉を主とする食肉中の腸管出血性大腸菌〜
 (2010年4月)

・食品衛生研究 2011 June vol.61 優秀演題「焼肉チェーン店における腸管出血性大腸菌O157による広域散発食中毒事例」

・地域政策−あすの三重:三重県政策開発研修センター2004年3月号No.11「モウモウ運動の展開(松阪食肉センターの風土改革への取り組み)」

・三重県四日市食肉衛生検査所事業概要(平成6年度)

他の記事を見る
ホームページを見る

サナテックメールマガジンへのご意見・ご感想を〈e-magazine@mac.or.jp〉までお寄せください。

Copyright (C) Food Analysis Technology Center SUNATEC. All Rights Reserved.