マイコトキシンは青かびやコウジカビの仲間の、一般的には糸状菌(糸状に生育するカビ)や酵母がつくる毒素とされています。酵母からは実際には、マイコトキシンまだ見出されていません。マイコトキシンは、生物のエネルギーをつくりだす代謝系などの生命活動に必須の代謝系である一次代謝ではなく、色素や抗生物質の生産などのいわば余分な代謝系、二次代謝系がつくり出す物質です。このため菌の側にも、つくる(生産)株とつくらない(非生産)株があります。たとえば、発がん性マイコトキシンとして有名であるアフラトキシンをつくるカビとして知られるアスペルギルスフラバスが、ある食品から分離されても、それがすぐさまアフラトキシン汚染にはつながらないということになります。ですから、その可能性調べるには、分離したカビをコメなどを用いて培養しアフラトキシンをつくる株かどうかを調べる必要があります。アフラトキシン産生株の場合は、その分離源によってもアフラトキシンをつくる能力が異なり、コメなどの穀類からの分離株は、その1/3〜1/4がアフラトキシンをつくらないか、産生能が比較的低いのに対し、落花生からの分離株はほとんどが産生株で、多量につくる株も少なくありません。このことは落花生にアフラトキシン汚染が多い大きな要因となっています。 |