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コラム「食品分析は面白い?」
   ~第一回 食品検査と食品分析~
生活協同組合連合会東海コープ事業連合
商品検査センター技術顧問
(株)アイスティーサイエンス 技術アドバイザー
斎藤 勲

「因果応報」という言葉があります。私は学生時代正直分析化学の授業はとても不真面目で、試験前夜もノートがないので友人の家で一緒に勉強させてもらいましたが、機器分析の具体的なことは分からず、NMRのエチル基のメチル部分がトリプレットになることすら知らず散々の結果であった。そんな自分が仕事の大半で分析の仕事を生業としてきたとは。おかげで、分析の理論や基礎学力が不足しているので、仕事の中で機器の勉強をする際大変だった記憶が今でも残っている。皆さんもまだ若いなら理論的な部分の勉強を、大学の後輩に分析がやりたいなら理論だけはきちんとやっておきなさいと伝えてください。このコラムは、そんな私が言う話ですから気楽に読んでください。

さて、皆さん、自分の仕事の食品検査や分析楽しいですか?

急にそんなこと聞かれても、仕事は仕事だからと戸惑う方もいるでしょう。おそらく、物事全てそうでしょうが、仕事だから仕方ないと思っていても、ある時は楽しいと思えることや時間がないから早く終わりたいと願うこともあるでしょう。しかし、食品の検査・分析の仕事って見方によっては結構面白いこともあると思いますよ。

私たちが日常的に行う業務は食品検査でしょう。ある項目について、規格基準が定められており、SOPの検査方法に従ってテキパキ操作を行い検査結果を出し、規格と比較して下回っていれば、適・合格、超過していれば不適・不合格となります。検査にかかる時間の長い短いはあるでしょうが、ある程度訓練を受けた方ならそれなりの正確度で結果が出せるように、SOPは備考欄等にポイントを充実させる必要があります。では、食品分析とは?

私の感覚でいえば、食品分析という言葉は、もう少し自由度と俯瞰した視点があります。食品の分析で、ある項目の分析法は一つなのですが食品は千差万別、それをひっくるめて一つの(少しはバリエーションあるものもある)分析法でやろうとするのが土台無理な話なのです。残留農薬分析を見れば一目瞭然です。

水分、脂肪分、糖分、色素等の多い少ない、その食品特有の成分等、これが食品という名前でくくっていいのかと思うくらい差があります。さらに分析の対象農薬が多成分になると極性の違う、酸性塩基性、壊れやすい農薬など多種多様の化合物の総称の農薬を分析するとなるとどうなるかは大体想像つくでしょう。昔今ほど検査法が整備されていないころ、新米の担当者がベテランに分析法のやり方について質問すると、ベテランの答えは、「適当にやって」でした。無責任かと思われますが、ある面、的を得ているのです。

一つ一つのサンプルで分析をする際、操作の途中を注意深く見ながら、時にはケーズバイケースの対応(これが”適当に”の意味。ろ過時間、放置時間、残留物処理等調整する)をしてうまく測定終了にたどり着く必要があります。試薬や樹脂等のロット差も当然影響します。この変化をきちんと捉える一つ一つの経験が次の検査・分析の基礎になっていくのです。

食品を検査する場合、入門編としては単純な検査から入り(その場合でも操作過程での気になる変化は見逃さないように)、徐々に変動因子の多い検査項目にチャレンジしていくのがいいでしょう。うまくいけば先輩よりいい結果がでて、達成感も出てきます。

食品をどう検査するかは、言葉としては「食品分析の視点で食品検査をする」というのが一番しっくりするかもしれません。次回は、食品分析の視点で食品検査をする、の一例を紹介しましょう。

略歴

斎藤 勲

生活協同組合連合会東海コープ事業連合商品検査センター技術顧問

(株)アイスティーサイエンス 技術アドバイザー

 

薬学部修士課程卒業後、医薬品会社研究所3年、愛知県衛生研究所30年勤務、その後生活協同組合連合会東海コープ事業連合商品検査センター長として7年間勤務後、現在技術顧問としてサポート。愛知県衛生研究所では主に食品中残留農薬等食品中微量物質の分析に従事。平成23年からフーコムネットでコラム「新・斎藤くんの残留農薬分析」を執筆。

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