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新年を迎えて -働き方改革を進めるなかで気づいたこと-
一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
理事長 西中 隆道

 

 

新しい年を迎え、弊財団理事長として、一言ご挨拶申し上げます。

サナテックメールマガジン読者のみなさま、あけましておめでとうございます。今年がみなさまにとって良い年となることを心からお祈りいたします。そして、これからも引き続きサナテックメールマガジンをよろしくお願いいたします。

近頃、新聞やテレビ・ラジオなどで「働き方改革」という言葉を頻繁に耳にするようになってきました。ご存知のとおり、働き方改革は2016年に今の内閣が内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し、国が率先して取り組みを進めている改革ですが、「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」とも言われています。

少子高齢化が問題視されるなか、このままのスピードで高齢化が進めば、やがては生産年齢人口が総人口の減少率を上回るペースで減少していくという危機的状況に陥るのは必至です。言い換えれば国全体の生産力の低下、国力の低下に直結する大問題ですから、国が率先して提唱するのも無理もないことです。働き方改革のなかでも、特に労働生産性の向上や長時間労働の是正、正規職員と非正規職員の格差の解消などの問題が大きく取り上げられています。それを受け、各企業でも独自の対応を始めているところが多くなってきました。弊財団でも職員の働き方については、2008年から生産性の向上や、有給休暇の積極的な取得、残業時間の平準化などの業務改善に取り組んでいます。まだまだ改革とまではいかないのが現状ですが、一歩一歩課題を整理し、改善から改革へと転換していきたいと思います。

この様な取り組みを進めるなかで、ふと、こんな疑問が湧いてきました。そもそも欧米社会ではどのようになっているのでしょうか。テレビやラジオなどで欧米人が夏のバカンスを楽しんでいるというニュースを観たり聞いたりします。しかも夏は1か月以上、クリスマスだと2週間、他にもイースター休暇なるものがあって、それにも1週間以上の長期休暇が取得できると聞きます。その間は、日本のように大混雑するテーマパークや観光地に出かけるのではなく、のんびり山や海に行き心や身体をリフレッシュさせるそうです。労働者のための休暇だとすれば、それが当然なのかもしれません。わたしも長期休暇を取得し、のんびりと海外旅行でも行くことができればきっと欧米人のように幸せな気持ちになれるのではないかと思いましたが、いろいろと調べていくうちに、どうやらそうでもなさそうだということがわかりました。そもそも欧米人は仕事とプライベートをきっちり分けるという考え方が一般的のようですが、仮にどちらかが充実していても、もう一方がそうでないと不満に思う人が多いことを知り、やはり休みの数が多いだけでは幸せにはなれそうもないことに気がつきました。

近頃、海外で注目されている日本の言葉があります。それは「生きがい」です。生きがいは、ワークとライフの両方を合わせて人生の喜びを得るという考え方ですが、欧米社会にはない日本独自の概念のようです。そのため欧米人には、とても新鮮な言葉として受け止められていて、注目を浴びています。ワークとライフの両方が充実すれば幸福感が生まれる。幸福感は生産性を高めることも証明されていますし、幸福感が増せば生きがいにも繋がるわけです。

人生に意義や満足感・幸福感をもたらすこと、それこそが「生きがい」だとすれば、わたしたちの取り組みも、長時間労働の是正、労働時間の短縮や生産性の向上ばかりに目を向けるのではなく、職員ひとり一人の「満足度」や「幸福度」といった精神面や感情面での配慮を重視することが大切だと言えます。大事なことは数字では見えない心の部分にあるのかもしれません。「ワークとライフの両方が幸せなこと」でなければ本当の意味での「改革」が進んだとは言えないのではないでしょうか。働く人、ひとり一人がこのことに目を向け取り組みを進めていけば、きっとそれぞれの職場で素晴らしい「働き方改革」ができるのではないでしょうか。一日でも早く、その日が来ることを願って、新年のご挨拶とさせていただきます。

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