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食品の凍結粉砕法による試料調製
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検体調製室

1.はじめに

市場では多種多様な食品が開発製造され、理化学検査に用いるための試料調製において、通常の粉砕方法では均質化が困難な食品がある。今回は、そのような食品を均質化する方法の一つである凍結粉砕法について紹介する。

2.凍結粉砕法による食品の試料調製について

チョコレートは、粉砕機の摩擦熱により融解し、油脂分が分離することがある。ドライフルーツ、ガム、グミなどは、粘弾性があるため粉砕機での粉砕が困難である。これらの食品は、凍結して硬化させ、融解や粘弾性を抑えた状態で粉砕することにより、均質化が可能になる。
 凍結方法には、冷凍庫で凍結させる方法と、ドライアイスを用いる方法がある。 なお、凍結を行うと吸湿する恐れがあるため、粉砕後、試料の水分増加を防ぐ等、取り扱いには注意が必要である。

3.凍結粉砕法による食品の試料調製の実例

1)チョコレートの凍結粉砕

ある程度の大きさにカットしたチョコレートを粉砕容器にとり、蓋をして密封し冷凍庫で凍結させる。凍結後、粉砕機で粉砕し、室温に戻した後、内容物を取り出す。

室温での粉砕(以下、通常粉砕という。)では、粉砕機の摩擦熱によって一部が溶け出し刃に絡み、粉砕を続けると油脂分の分離が生じるが、凍結粉砕では均質な粉末状になる。

2)ドライフルーツの凍結粉砕(固形ドライアイスを用いる例)

ドライフルーツを粉砕容器にとり、蓋をして密封し固形ドライアイスで覆い凍結させる。凍結後、粉砕機で粉砕し、室温に戻した後、内容物を取り出す。

通常粉砕では、熱により粘性が増し刃に絡む固形物が残るが、凍結粉砕では、均質なペースト状になる。

3)ガムの凍結粉砕(ドライアイスボンベを用いる例)

ガムを粉砕容器にとり、蓋をして密封しドライアイスボンベのドライアイスを吹きかけ凍結させる。凍結後、粉砕機で粉砕し、室温に戻した後、内容物を取り出す。

通常粉砕では、熱により粘性が増し刃に絡み粒度が荒いが、凍結粉砕では、均質な粉末状になる。

4)その他の粉砕例

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