(一財)食品分析開発センター SUNATEC
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生き残る価値ある組織とは
一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
理事長 西中 隆道

あけましておめでとうございます。
 サナテックメールマガジン読者のみなさまには、日頃よりご愛読を賜わり心からお礼を申し上げます。今年がみなさまにとって希望に満ちた一年となりますようお祈り申し上げますとともに、本年も弊財団をどうぞよろしくお願いいたします。新しき年の初めを迎え、弊財団理事長としてご挨拶させていただきます。
 「生き残る価値ある企業や財団、組織とは、いったいどのようなものであろうか?」「どのようにすれば生き残れるか?」理事長に就任して2年が経過しようとする今日、そのことについて自問自答しています。これまで、「職員を大切にし、物を大事にすること」それこそが生き残るための唯一の方策だと思ってきました。無論のことではありますが、環境の変化にも迅速に対応できなければなりません。つまりは、ダーウィンの進化論です。もっとも強いものが生き残れるのではなく、変化に対応できるものだけが生き残るということです。経営に関して申し上げれば、これまでの発想に捉われない、時代の変化に対応した新しい考え方を取り入れ、日々改善・改革していくことが大切だと思っています。わたしが第一線で働いた昭和の時代の常識が今日の社会においては非常識になっていることが、たくさんあります。特に高度成長期においては、製品開発や生産は造る側の論理を優先させ、品質の良い製品を造ってさえいれば大量生産で造られたものであったとしても、売れていった時代がありました。しかし、今の時代はそれだけでは売れなくなっています。世の中にはものが溢れているので、「造ってなんぼ」、「売ってなんぼ」のプロダクトアウトから、顧客のニーズをしっかりと把握し、お客さま目線で製品を造るというマーケットインの考え方が重要になってきたのではないでしょうか。
 ただ弊財団の場合、お客さまが望まれるものを「つくった」としても、製品の良し悪しは簡単には見えるものではありません。わたしたちの最終製品は、約束した期日までに精確な検査結果をご満足いただける方法でお客さまに提供することだからです。約束した期日を厳守することや、価格面でのお客さま満足度を高めることは、努力を重ねれば何とか見えますが、最も重要な分析結果の精確さだけは容易には見えない製品価値だからです。この見えにくいとされる製品価値をどのようにして提供していけば良いのか、これこそがわたしたちの大きな課題でもあり、解決していくことの難しさを実感しているところです。見えにくい製品価値、すなわち高いクオリティーをお客さまにお見せすることができれば、検査をさせていただく弊財団職員ひとり一人の喜びとなり、遣り甲斐にも繋がっていくはずです。そのことが企業と企業、組織と組織、人と人との信頼関係にも大きな影響を及ぼしてくれるものと信じます。これからも日々努力を惜しまず、改善・改革を進めていく所存ですので、よろしくお願いいたします。
 次に、弊財団ではこれまでも公益事業に取り組んできましたが、その役割を一層強化していくことで、これからも地元のみなさまから愛され、地域のために貢献できる財団であるとともに、企業のみなさまからも信頼される食品検査機関として認められるようにしていきます。
 2007年から毎年、「食の安全・安心セミナー」や「食品衛生セミナー」を開催してきましたが、今年度からは県内の中高等学校や専修学校での出前授業にも取り組んでいます。現在では7校で取り組みが進められていますが、各学校や生徒の特色や要望にも沿った授業となるよう努めています。例えば、進学校ではキャリアプランとしての進路を決めるための支援を、また卒業後に社会の一員として活躍することを目的とする学校では、即戦力となる技術や知識を身に着けていただけるよう、授業に工夫を凝らしています。分析屋として弊財団が得意とする技術や経験を器具や薬品などを用いて実践形式で進めることで、学校の授業では生徒らが体感できなかった授業となるよう計画しました。出前授業終了後の生徒たちの反響は予想を大きく超え、弊財団職員の遣り甲斐にも繋がっています。未来に向かって夢を持つ多くの若者達とサナテックの職員の結びつきが、今後ますます強くなってくれれば嬉しい限りです。
 実はこの取り組みにはもう一つの狙いがあるのです。それは弊財団職員ひとり一人の満足度を高めることです。「サナテックの職員がいきいきと将来にわたって活躍できる」ことを目指しているのです。現在、弊財団には臨時職員を含め128人の男女職員が活躍していますが、正職員の平均年齢は35歳と比較的若いです。しかし、若いといっても数十年後には、視力の衰えや、腰痛、記憶力の低下など、身体の不調により持続的な検査業務が難しくなることも考えておかねばなりません。今から若い職員に分析業務以外の経験をたくさん積ませ、教える喜びや話す楽しさなどを体感させることができれば、将来、講師活動や外部審査活動などの幅広い分野での活躍ができるのではないでしょうか。将来にわたり職員ひとり一人が、いきいきと働き続けられれば、弊財団が「生き残る価値ある組織」として生き残れるのではないかと信じています。弊財団のことで恐縮ではありますが、平成28年3月に内閣府より「子供と家族・若者応援団表彰(子育て・家族支援部門)」を、同年11月には三重県より「男女がいきいきと働いている企業」グッドプラクティス賞を受賞しました。また平成29年10月には「みえの働き方改革推進企業」として三重県に登録されたところです。5年後、10年後に弊財団が、未来にわたり生き残る価値ある組織となっていられるよう、これからも行動を起こしていきますので、どうかこれからも変わらぬご指導・ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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