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食品、添加物等の規格基準に定める黄色ブドウ球菌の試験法について
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微生物検査室

1.はじめに

昭和34年厚生省告示第370号「食品、添加物等の規格基準」の食肉製品のうち、非加熱食肉製品、特定加熱食肉製品及び加熱食肉製品(但し、加熱殺菌した後容器包装に入れたもの)の成分規格として、黄色ブドウ球菌の規格が設定されている。これまで黄色ブドウ球菌の試験法は、平成5年3月17日付け厚生省生活衛生局長通知「衛乳第54号」に定められていたが、平成27年7月29日付け厚生労働省通知「食安発0729号第4号」でサルモネラ属菌の試験法と合わせて改正が行われた。
 今回は、改正された黄色ブドウ球菌の試験法について紹介する。

2.試験法について

試験法を図-1に示す。
 選択分離培地として今回採用されたBaird-Parker寒天培地は、ISO 6888-1:1999「Microbiology of food and animal feeding stuffs−Horizontal method for the enumeration of coagulase-positive staphylococci(Staphylococcus aureus and other species)− Part 1: Technique using Baird-Parker agar medium」に採用されている培地である。
 また、Baird-Parker寒天培地の代替として旧試験法での実績及び信頼性のある3%卵黄加マンニット食塩寒天培地も使用できる。なお、試験に用いる希釈液、培地並びに試薬(以下「培地等」という。)の組成は、自家調製する場合の目安として示されたものであるため、組成が完全に一致していない場合であっても、黄色ブドウ球菌の分離用として市販されている培地等を使用しても差し支えない。

黄色ブドウ球菌の試験法
黄色ブドウ球菌の試験法
図-1 黄色ブドウ球菌の試験法

3.まとめ

今回、改正された黄色ブドウ球菌の試験法を紹介した。本試験法は、国際整合性がありISO 6888-1:1999と妥当性確認がなされた試験法である。国内で初めて国際整合性があり、かつ妥当性確認がなされた試験法は、平成23年9月6日付け厚生労働省通知「食安発0926第1号」で通知された腸内細菌科菌群の試験法であるが、今回紹介した黄色ブドウ球菌、同時に改正されたサルモネラ属菌と同様、今後食品に関する微生物の規格基準が定められる際は、この考え方に沿った試験法が採用されていくものと考えられる。

参考資料

1. 平成5年3月17日付け厚生省生活衛生局長通知「衛乳第54号」

2. 平成27年7月29日付け厚生労働省通知「食安発0729第4号」

3. 平成28年1月28日付け医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課事務連絡

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