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母乳から見た有機ハロゲン化学物質
 -長期モニタリング調査で分かったこと-
元大阪府立公衆衛生研究所
堀 伸二郎

はじめに

近年、人々を取り巻く社会環境、生活環境は大きく変わってきており、それに伴い、環境の汚染や変化がヒトの健康などに悪影響を及ぼす可能性(=環境リスク)が増大しているのではないかという懸念がもたれている。なかでも、化学物質など環境中の有害物質が胎児および子どもの成長・発達にもたらす影響について、大きな関心を集めている。
 環境省は2010年度から「子どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査)1)を開始した。環境省の計画する疫学調査は、「胎児期から小児期にかけての化学物質暴露をはじめとする環境因子が、妊娠・生殖、先天奇形、精神神経発達、免疫・アレルギー、代謝・内分泌系等に影響を与えているのではないか」という大きな仮説を解明するために行われる。その目的のために、10万組(母子)について出生コホート研究(追跡13年,解析5年)が計画されている。
 化学物質の暴露調査には、母乳、血液(母親)、臍帯血などの試料中の有機ハロゲン化学物質の測定が行われることになっている。
 著者らは、有機ハロゲン化学物質の母乳中濃度2)と食事からの1日摂取量3)を30年以上にわたって継続して調査してきた。本稿では、エコチル調査にあたり、エコチル調査以前の年代における母乳および食事中の有機ハロゲン化学物質の暴露評価についてまとめた。

1.有機塩素系化合物

1)母乳中の有機塩素系化合物濃度2~4)

1973年から2008年の大阪府在住の授乳婦(25~29歳の初産者のみ;各年19〜33名)より採取した母乳脂肪中有機塩素系化合物濃度の経年変化を図1に示した。

図1 母乳(大阪)中のPCB,有機塩素系農薬の濃度
図1 母乳(大阪)中のPCB,有機塩素系農薬の濃度

1970年代の母乳脂肪中の有機塩素系化合物はBHC(HCH)、T-DDT(総DDT)、PCBの順で高い値であり、これに比べてDiel(ディルドリン)、T-CHL(総クロルデン)、HCE(ヘプタクロルエポキシド)およびHCB(ヘキサクロロベンゼン)は低い値であった。
 BHCは1974年が最も高く(6.8μg/g)それ以降は急激な減少がみられ、1995年頃からは緩やかな減少傾向になった。2008年は0.098μg/gまで減少し、1974年(6.8μg/g)の1.4%まで減少した。
 T-DDTもBHCと同様の減少傾向を示し、2008年は0.29μg/gまで減少し、1974年(3.7μg/g)の8%まで減少した。一方、PCBはBHC、T-DDTに比べて緩やかな減少傾向が見られ、2008年は0.19μg/gで、1974年(1.51μg/g)の13%あった。
 また、2008年の母乳中のHCB(0.02μg/g)、T-CHL(0.10μg/g)、2005年のHCE(0.0023μg/g)、Diel(0.0036μg/g)濃度は測定期間中の最高濃度に対してそれぞれ26%(HCB)、87%(T-CHL)、7%(HCE)、4%(Diel)であった。しかしながら、クロルデン防除家屋に住居していたヒトのクロルデン濃度は、依然として乳脂肪当たり0.1μg/g以上の母乳も認められている。この原因は床下などに散布されたクロルデンが家屋内に蒸散し、米等の食品に吸着されそれを食べることによる家屋内汚染が原因である。

2)母乳中の有機塩素系化合物の暴露評価5)

乳児が母乳から摂取する有機塩素系化合物の量を評価する基準は見当たらない。そこであえて成人のADI(1日摂取許容量)を用い参考とした。1970年代は表1に示したごとく、これらの化合物はそれぞれのADIを越えていたが、現在(2000年代)はADI を下回っている(5〜46%)。

表1 母乳経由による乳児の有機塩素系化合物の1日摂取量
3)有機塩素系化合物の食事からの1日摂取量6,7)

大阪府立公衆衛生研究所でマーケットバスケット方式で調製された、1977年〜2003年の大阪府民の食事からのPCB、T-DDT、T-HCH(BHC)等の有機塩素系化合物の1日摂取量を経年変化が分かるように図2に示した。

図2 食事(大阪)経由による有機塩素系化合物の一日摂取量(成人)
図2 食事(大阪)経由による有機塩素系化合物の1日摂取量(成人)

各化合物の経年変化については、1970~1980年代の最高値に比べて2003年は約1/20(PCB)、1/25(T-DDT)、1/50(T-CHL)、1/90(T-HCH)にそれぞれ減少していた。しかしいずれの化合物も、2000年以降の2〜3年では明らかな減少は見られず、低いレベルでの汚染が継続していた。
 上記の有機塩素系化合物は魚介類、食肉類、乳製品から多く摂取しており、中でも魚介類の寄与は大きかった。1970年代のBHC摂取に関しては、一部のBHC汚染牛乳の関与があった。
 例えば、上記3群のそれぞれの占める割合は1977年~1995年の平均値で、PCB:魚介類(76%)、食肉類(16%)、乳製品(3%)、T-DDT: 魚介類(75%)、食肉類(15%)、乳製品(6%)、T-HCH: 魚介類(39%)、食肉類(13%)、乳製品(13%)、となり、これらの化合物は乳肉・魚介類からの摂取量が大きく、この傾向は1995年以降もほとんど変わらなかった。

4)食事中の有機塩素系化合物の暴露評価5)

表2から明らかなように、1977年~2003年の食事からのPCB、 T-DDT、T-HCHの1日摂取量は、それぞれ4.31〜0.11μg、4.77〜0.11μg、3.65〜0.04μgであったのに対し、T-クロルデンは1.51〜0.03μg、HCEは0.17〜0.00μg、HCBは0.90〜0.005μg、ディルドリンは0.49〜0.005μgというように低い値であった。アルドリンとエンドリンは、1988年以降分析しているが、すべての試料で定量限界(0.005μg)未満であった。

表2 有機塩素系化合物の食事からの1日摂取量

PCBの成人ADI(μg/50kg/日)は250μgである。PCB摂取量の最大値4.31μg(1985年)はADI値の1.7%であった。T-DDT摂取量の最大値4.77μg(1979年)はADI(1000μg)の0.5%であった。同様に、T-HCHは0.9%(1979年)、T-クロルデンは6.0%(1988年)、HCEは3.4%(1992年)、ディルドリンは9.8%(1992年)であった。したがって、全期間におけるPCB及び有機塩素系農薬の1日摂取量は、各化合物のADIをいずれも大きく下回っており、現時点では問題はなかったと考えられる。

2.ダイオキシン類

1)母乳中のダイオキシン類濃度8,9,10)

1994年及び1995年度報告によれば、日本における母乳中のダイオキシン類(T-PCDD :総ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン、T-PCDF:総ポリ塩化ジベンゾフラン、T-Co-PCB:総コプラナーPCB)の脂肪中濃度は平均26.6 pg-TEQ/g fatである。同時代のイギリス、ドイツ、カナダ等の先進国における母乳中のダイオキシン類濃度も同程度であり、日本を含めた先進国での母乳中のダイオキシン類濃度は同程度と考えられている。
 我々は1973~2004年の大阪府在住者の保存母乳のダイオキシン類を分析した。その結果を図3に示した。
 母乳中ダイオキシン類濃度は経年的に減少している。その減少傾向はT-Co-PCB、T-PCDD、T-PCDFの順で大きかった。
 各化合物の経年変化については、1970年代の最高値に比べて2004年は約1/6(T-Dioxin)、1/10(T-Co-PCB)、1/4(T-PCDD)、1/4(T-PCDF)にそれぞれ減少していた。しかしいずれの化合物も、2000年以降では明らかな減少は見られず、低いレベルでの汚染が継続していた。

図3 母乳(大阪)中のダイオキシン類濃度
図3 母乳(大阪)中のダイオキシン類濃度

PCP(ペンタクロロフェノール:除草剤等)及びCNP(クロルニトロフェン:除草剤)を例に、環境中に放出(使用)された化学物質量とヒトの蓄積量を図4に示した。

図4 母乳(大阪)中のPCDDs異性体濃度とPCP,CNP使用量(日本)
図4 母乳(大阪)中のPCDDs異性体濃度とPCP,CNP使用量(日本)
大阪府立公衆衛生研究所と益永等のデータを基に作成した

PCP中には副生成物として1,2,3,4,6,7,8-Hp-CDD、1,2,3,4,6,7,8-Hp-CDF、OCDD、OCDFが含まれており、中でもOCDDが一番多く含まれている。PCPの年間使用量と母乳中のOCDD濃度を示したものが図4(左上)である。
 図から明らかなように、使用量と母乳中OCDD濃度との間にタイムラグがあるが、関係があることがわかる。同様に、CNPの年間使用量と母乳中の1,2,3,6,7,8-He-CDD濃度を示したものが図4(左下)である。CNPにおいても使用量が母乳中の1,2,3,6,7,8-He-CDD濃度に強い影響を及ぼしていることが明らかである。このことから、有機ハロゲン化合物のような難分解性・高蓄積性化合物は環境-食物(特に魚介類)-ヒトへと生物濃縮と食物連鎖によりヒトに蓄積されることがわかる。
 母乳中のダイオキシン類の乳児に対するリスク評価は評価基準が示されてないので困難である。
 ダイオキシン類のTDI(耐容1日摂取量:4 pg/kg/day)は決められているが、TDIはヒトが生涯にわたり摂取する量を基に算出されているため、授乳という短期間の暴露では指標とならない。したがって、母乳中のダイオキシン類の乳児に対するリスク評価は困難である。
 しかしながら、厚生労働省は以下の理由により今後とも母乳栄養を推進している。
 ① 母乳からのダイオキシン類の摂取が乳児に与える影響は、直ちに問題となる程度ではないこと。
 ② 母乳が乳児の身体的・精神的発育、感染症の防止及び栄養素の補給に及ぼす効果が大きいこと。
 ③ 諸外国においても母乳栄養を推進していること。

2)ダイオキシン類の食事からの1日摂取量11)

図5に大阪府下(2010年以降は関西地区)でマーケットバスケット方式で調製された食事からのダイオキシン類1日摂取量の経年変化を示した。

図5 大阪地区における食事中ダイオキシン類の経年変化(厚生労働省調査を基に作成した)
図5 大阪地区における食事中ダイオキシン類の経年変化(厚生労働省調査を基に作成した)

ダイオキシン類1日摂取量は、経年的に減少傾向を示した。
 1977~1998年は毎年の結果ではなく、3~5年ごとの試料の分析結果であるが、22年間の傾向が見られる。ダイオキシン類(Total: T-PCDD+T-PCDF、T-Co-PCB)摂取量は8.18(1977年)~2.72 pg-TEQ/kg/day(1998年)となり、この間に33%まで減少した。このうちT-PCDD + T-PCDFは3.79(1977年)~0.92 pg-TEQ/kg/day(1998年)、T-Co-PCBsは4.43(1977年)~1.80 pg-TEQ/kg/day(1998年)で、それぞれ22年間で25%、41%に減少した。
 1999~2003年と2011~2015年の平均ダイオキシン類1日摂取量(pg-TEQ/kg/day)を比較してみると、T-PCDD+T-PCDFは0.56~0.17、T-Co-PCBsは0.92~0.41、ダイオキシン類は1.48~0.58であった。調査後半の約15年間でT-PCDD+T-PCDFは30%、T-Co-PCBsは42%、ダイオキシン類は39%にまで減少した。
 1977~1992年と2011~2015年の平均ダイオキシン類1日摂取量(pg-TEQ/kg/day)を比較してみると、T-PCDD+T-PCDFは2.35~0.17、T-Co-PCBsは2.94~0.41、ダイオキシン類は5.29~0.58であった。約40年間でそれぞれの1日摂取量は、T-PCDD+T-PCDFで約1/14、T-Co-PCBsで約1/7、ダイオキシン類で1/10に減少していた。また、各年度(1977~1992年と2011~2015年)におけるダイオキシン類1日摂取量に対するT-PCDD+T-PCDF、T-Co-PCBs組成比は、それぞれ45%から30%、55%から70%であり、相対的にT-Co-PCBsが増加している。
 総ダイオキシン類摂取量に対する寄与率が高い食品群は魚介類および肉·卵類で、この両群で1999年以降(2001年の83%を除いて)95%を占めている。その中でも魚介類は高い寄与率を示し80%以上(2001年の69%を除いて)であった。
 いずれにしても、大阪地区のダイオキシン類の成人1日摂取量は1992年以降TDI(4 pg-TEQ/kg/day)を下回っている。

3.大阪母乳中PBDEs (ポリ臭素化ジフェニルエーテル)13)

臭素系難燃剤として使用されているPBDEsの3~6臭素化成分はヒトの母乳や魚、肉類、乳製品など幅広い食品群から検出されている。全般的にPenta-BDEの使用量が多い北米地域(アメリカ合衆国およびカナダ)の魚類から高濃度のPBDEsが検出される傾向にあるが、その他の地域においても、工業地帯や大都市近辺の閉鎖系水域に生息する食物連鎖上位の肉食魚などでは、高濃度の検出例がいくつか報告されている。

図6 母乳中PBDEs濃度の経年変化
図6 母乳中PBDEs濃度の経年変化

2002年にミョーサ湖(ノルウェー最大の湖)で採取されたカワメンタイ(タラ科の淡水魚)からは、魚介類における現時点での最高報告値である、米国ヴァージニア州の野生のコイの汚染レベル(47,900 ng/g fat)に匹敵する7,066~45,144 ng/g fatの高濃度のPBDEsが検出されている。また、わが国では1998年に採取された東京湾のコノシロから280~440 ng/g fatのPBDEs(2~7、10臭素化物の合計)が検出されたとの報告がある。我々の調査では、瀬戸内海産の食用魚(1998年)における代表的な3~6臭素化物(BDE-28,47,99,100,153,154)の濃度は2.3~57 ng/g fatであり、養殖ハマチやボラで比較的濃度が高かった14)
 Ohtaらは大阪府の市場で購入した野菜、肉類、魚介類中のPBDEs(3~7臭素化物)を分析し、これらの食品中のPBDEs濃度が0.006~1.72 ng/gであったと報告している15)
 厚生労働省報告によると、食事からのPBDEsの成人1日摂取量は3.14 ng/kg/day(平成21(2009)年度)であった。
 大阪府の初産婦母乳の汚染調査(1973~2000年の保存試料)では、1973年から1988年にかけてPBDEs濃度の上昇傾向が認められたが、以降は2006年までほぼ横ばい(約1~2 ng/g fat)で推移した12)。この結果はスウェーデンの母乳中PBDEs濃度の経年変化と類似していた(図616)
 図6に示したPBDEs需要推移とスズキ(大阪湾)および母乳(大阪)中PBDEs濃度の間にはタイムラグがあるが関係していると思われ、2006年以降の母乳(大阪)中PBDEs濃度は減少していくものと考えている。
 大阪府における母乳による暴露評価を試みた。2006年の母乳試料中のPBDEs濃度はpenta-BDEs:2.7 ng/g fat、octa-BDE:0.1 ng/g fatであり、乳児暴露量はそれぞれ12.15 ng/kg/day、0.45 ng/kg/dayであった。これらの値は、甲状腺過形成のBMD(40,000 ng/kg/day)、T4濃度に変化が生じるBMD(70,000 ng/kg/day)、あるいはUSEPAが報告している肝酵素誘導の参照量(RfD、2,000 ng/kg/day)17)を大きく下回っていた。
 これらの食品や母乳の調査結果から判断すると、現在のわが国の平均的なPBDEs汚染レベルは欧州の汚染度の低い地域と同程度であり、北米の高汚染地域と比較すると1~2桁低いレベルと推定される。
 わが国では、他国に先駆け1990年代前半に難燃剤関連業界が率先してα-BDEの使用を自主規制したために、環境汚染の深刻化を免れたと考えられる。

おわりに

我々は1973~2008年まで36年間大阪府内在住、出産後1~3ヶ月の授乳婦を対象に、母乳中の残留性有機汚染物質(POPs)のモニタリング継続調査を行ってきた。また、これらの試料(母乳脂肪)は冷凍保存した。これと並行して、マーケットバスケット方式に基づくトータルダイエットスタディーも行ってきた。その結果、母乳中の有機塩素系化学物質濃度および成人に対するこれら化合物体内暴露量(1日摂取量)は経年的に減少していた。また、1日摂取量においては、調査期間(1970~2000年代)を通じてそれぞれの化合物のADIまたはTDIを下回っていることを明らかにした。
 1993年4月20日、朝日新聞朝刊第一面のトップに、日本の母親の母乳中に含まれるダイオキシン含量がヨーロッパ諸国の基準に比べて10~200倍も高いと言うニュースが報じられた。これを契機に母乳中ダイオキシンが社会問題となった。そこで、著者らは保存母乳中のダイオキシン濃度を測定した結果、1973年度以降ダイオキシン類の濃度は減少してきており、母乳中のダイオキシン類濃度は1996年までに概ね1/2程度まで減少していることを明らかにした。この結果により、社会問題化していた母乳中ダイオキシンの問題は一応収まった。厚生労働省においても母乳育児は問題がないといっている。これら化学物質の胎児および子どもに及ぼす影響については、一部心配に思っている人もいる。「エコチル調査」に期待したい。
 本稿で明らかなようにモニタリング調査は継続と一部試料の長期保存が重要であることを改めて認識することができた。

文献

1  http://www.env.go.jp/chemi/ceh/

2  井上 清、薬師寺 積、浜野 米一、村田 弘、渡辺 功、大阪府立公衛究所報 食品衛生編 第5号 19、昭和49年

3  Y.Konishi, K.Kuwabara, S.Hori, Arch. Environ. Contam. Toxicol., 40, 571(2001)

4  小西 良昌、柿本 建作、阿久津 和彦、尾花 裕孝、大阪府立公衛研所報、 47, 21(2009)

5  堀 伸二郎、食衛誌、51、373(2010)

6  K.Kuwabara, A.Harada, H.Matsumoto, S.Hori, Toxicological and Environmental Chemistry, 73, 93(1999)

7  桑原克義、松本比佐志、村上保行、堀伸二郎、食品衛生学雑誌、38、285-295(1997)

8  S.Hori, Organohalogen Compounds,13,65(1993)

9  S.Hori、Y.Konishi, K.Kuwabara, Organohalogen Compounds,141,65(1999)

10 小西良昌、田中 之雄、堀 伸二郎、多田 裕、環境化学、16、677(2006)

11 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kagaku/
dioxin/index.html

12 K.Akutsu, M.Kitagawa, H.Nakazawa, T.Makino,K.Iwazaki, H.Oda, S.Hori, Chemosphere, 53, 645(2003)

13 阿久津和彦、堀 伸二郎、食衛誌、45、175(2004)。

14 K.Akutsu, H.Obana,H.Okihashi, M.Kitagawa, H.Nakazawa, Y.Matsuki, T.Makino, H.Oda, S. Hori, Chemosphere,44,1325(2001)

15 S.Ohta, D.Ishizuka, H. Nishimura, T. Nakao, O. Aozasa, Y. Shimidzu, F. Ochiai,
T. Kida, M. Nishi, H. Miyata,Chemosphere,46,689(2002)

16 D. Meirenyte, K. Noren, In:BFR 2001 Proceedings, May 14-16, Stockholm, Sweden, 2001, p.303-305

17 K. Akutsu, PBDEs in Human Milk, http://www.ee-net.ne.jp/ms/e-08/akutsu-090801.pdf


・ ダイオキシン類: PCDDs + PCDFs + Co-PCBsを示す。

・ ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(Polychlorinated dibenzo-p-dioxins/PCDDs)

・ ポリ塩化ジベンゾフラン(Polychlorinated dibenzofurans/PCDFs)

・ コプラナーPCB(Coplanar polychlorinated biphenyls/Co-PCBs): PCDDs及びPCDFsと類似した生理作用を示す一群のポリ塩化ビフェニル(PCB)類。

・ トータルダイエットスタディー: ヒトが通常の食生活において、食品を介して化学物質等の特定の物質がどの程度実際に摂取されるかを把握するための調査方法。トータルダイエットスタディーには、「マーケットバスケット方式」と「陰膳方式」の2種類あり、本調査では「マーケットバスケット方式」を採用している。

・ マーケットバスケット方式: 広範囲の食品を小売店等で購入し、必要に応じて摂食する状態に加工・調理した後に分析し、食品群ごとの化学物質等の特定の物質の平均含有濃度を算出する。これに、特定の集団(例えばすべての日本人)におけるこの食品群の平均的な消費量を乗じることにより、食品群ごとに特定の物質の平均的な摂取量を推定する。この結果を全食品群について足し合わせることにより、この集団の特定の物質の平均的な摂取量を推定する。

・ 陰膳方式: 調査対象者が食べた食事と全く同じものの1日分を食事試料とし、食事全体を一括して分析し、1日の食事中に含まれる化学物質の総量を測定する。これにより、調査対象者が食べた食品に由来する化学物質の摂取量を推定する。

・ TEF(Toxic Equivalency Factor/毒性等価係数): ダイオキシン類は異性体により毒性の強さがそれぞれ異なっており、ダイオキシン類として全体の毒性を評価するためには、合計した影響を考えるための手段が必要であることから、最も毒性が強い2,3,7,8-TeCDDの毒性を1として他のダイオキシン類の仲間の毒性の強さを換算するための係数のこと。なお、今回は2005年にWHOで再評価されたTEFを用いている。

・ TEQ(Toxic Equivalent/毒性等量): ダイオキシン類は通常、毒性強度が異なる異性体の混合物として環境中に存在するので、摂取したダイオキシン類の量は、各異性体の量にそれぞれのTEFを乗じた値を総和した毒性等量として表す。

・ TDI(Tolerable Daily Intake/耐容1日摂取量): 長期にわたり体内に取り込むことにより健康影響が懸念される化学物質について、その量まではヒトが一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される1日当たりの摂取量。
ダイオキシン類のTDIについては、1999年6月に厚生省及び環境庁の専門家委員会で、当面4 pg-TEQ/kg bw/day(1日、体重1 kg当たり、4 pg-TEQの意味。体重50 kgのヒトであれば、4 pg-TEQ×50 kgで計算し、TDIは200 pg-TEQとなる。)とされている。

・ ADI(acceptable daily intake/ 1 日摂取許容量):  ヒトがある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、現在の科学的知見からみて健康への有害影響がないと推定される1日当たりの摂取量。

略歴

堀 伸二郎(ホリ シンジロウ)
1970年 大阪府立公衆衛生研究所入所
2004年 大阪府立公衆衛生研究(食品化学課長)退職
2004年 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社(食品衛生顧問)入社
2016年 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社(食品衛生顧問)退社

薬剤師 薬学博士(大阪大学)
日本食品衛生学会奨励賞受賞
日本食品衛生学会学会賞賞受賞
日本食品衛生学会 特別会員
日本食品化学学会 名誉会員

著書
管理栄養士講座 新食品衛生 学建帛社(2016)(分担執筆)
安全な食品の加工・製造のためのチェックガイド 第一法規(2016)(分担執筆)
食品衛生検査指針 理化学編 社団法人日本食品衛生協会(2015)(分担執筆)
食品安全学 同文書院(2010)(分担執筆)
衛生試験法・注解(2010) 日本薬学会(編)金原出版 (分担執筆)
水環境ハンドブック 朝倉書店(2006)(分担執筆)
食品安全性セミナー、ダイオキシン類 中央法規出版(2002)(分担執筆)
環境ホルモンの問題とその対策:化学物質安全情報研究会編 オーム社出版局(2002)(分担執筆)

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