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品質問題への対応について①
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コンサルティング室

今年1月に、HACCPを含む日本発の食品安全管理規格・認証スキームの運営や人材育成、海外への情報発信を担う団体として、「一般財団法人 食品安全マネジメント協会(Japan Food Safety Management Association 略称:JFSM)」が設立された。今後の取組みに注目されている方も多いと思われる。また、2014年に「食品等事業者が実施すべき管理運用基準に関する指針(ガイドライン)」が改定され、HACCPを用いた衛生管理の基準が追加されたことや、近年のISO22000、FSSC22000認証取得組織の増加など、様々な形で食品事業者のHACCPへの取組みが促進される状況となってきている。
 HACCPへの取組みにより健康被害を引き起こす問題の発生を防ぐことは、食品を取り扱う事業者において極めて重要であり、今後もその取組みが促進されるべきであると考えられる。
 しかし、取組みがHACCPだけに限定されてしまうとその他の品質問題への対応が不十分な状況となってしまう危険がある。
 一般財団法人 食品産業センターがインターネットで公表している「食品事故情報告知ネット(http://www.shokusan-kokuchi.jp/KokuchiInfo/index)」の中には、一般的に健康危害に繋がりにくいと考えられるような事例もみられる。
 このことから、本稿においては一般的に健康危害に繋がりにくいと考えられるような品質問題への対応について紹介する。

品質問題の発生要因抽出の難しさ

品質問題の発生を防止する為には、健康被害を引き起こす問題の発生防止と同様に、それらの発生要因を適切に把握することから始まる。
 しかし、品質問題は、例えば風味や見た目の問題、軟質異物の混入や包装の汚れの問題など、非常に多岐にわたる。その発生要因も使用する原材料(Material)、製造方法(Method)、製造に関わる人員(Man)、製造に使用する機器(Machine)、製造環境(Environment)によって異なる(4M+E)。
 また、品質問題の想定やその要因の抽出内容は検討する人によっても異なる。残念なことに、全ての製品に対して画一的に品質問題の発生要因を抽出することが出来るシステムは無いのが現状である。
 これらのことから、品質問題の発生要因抽出及びそれらへの対策の実施については、それぞれの組織が模索しながら取組むことが必要と考えられる。また、このような取組みを進めることにより、それらに関係する者の認識強化を図り、結果として組織全体の管理強化に繋げることが出来ると考えられる。
 以下に取組み例を記す。

品質問題の発生要因抽出の取組み例①

「自組織にてこれまで発生した問題(組織外からの指摘、自組織内での発見含む)の水平展開の取組み」
 これまで自組織にて発生した問題については多くの事業者は再発防止のため、原因調査を実施の上、原因となった事象を取り除く改善措置を実施されていると考えられる。
 しかし、その対策は、問題が発生した当該ラインや当該部署のみの対応となっている場合もある。確認された問題を別ラインや別部署の危害分析に反映させ、それらにおいても同様のリスクがあるかについて検討を進めることによって、同様の問題が今後組織で再発することが無いように組織全体で取り組むことが出来る。
 このことから、これまでに組織内外で発生した問題の一覧をまずは作成し、取組みを進めるメンバー(食品安全チーム:例えば生産部門の各担当者や品質保証部門担当者、更に必要に応じて工務部門や購買部門、開発部門などの担当者)が中心となって、重要な問題から優先的に取組みを進めることが推奨される。

次回の豆知識では、「品質問題への対応について②」においてその他の取組み例について紹介する。

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