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![]() 食品の放射能汚染の現状
![]() 一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
第二理化学検査室 2011年(平成23年)3月の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故により、放射性物質が環境中に放出され、農作物、畜肉、魚介類などの食品に汚染が広がった。1年後の2012年(平成24年)4月に、放射性物質の暫定規制値が基準値(放射性セシウム濃度として)に変更された。原子力発電所事故から4年が経過し、国民の食品の放射能汚染の関心も低くなってきた。食品の放射能検査を通して、現在の汚染状況について紹介する。 1.国内産食品の汚染状況弊財団にご依頼される国内産食品では、基準値(放射性セシウム濃度として)を超える食品は無く、検出される食品もほとんど見られなくなった。平成26年度の東京都内で流通した食品の調査では、1121件の内、検出された食品は4件、基準値を超えた食品は0件であった。 平成26年度 国内産食品の放射性セシウム調査結果
*一般食品の放射性物質の基準値(放射性セシウム濃度として):100Bq/kg 2.輸入食品の汚染状況2012年(平成24年)4月の放射性物質の暫定規制値が基準値(放射性セシウム濃度として)に変更されたこと合わせて、輸入食品の放射性物質の基準値も、それまでの370Bq/kgから100Bq/kgに変更された。厚生労働省によると、新基準値に移行後の平成24年度から平成26年度の放射性物質の基準値超えは、平成24年度が4件、平成25年度が2件、平成26年度が2件あった。基準値超え、又は検出された食品は、主にヨーロッパからのベリー類とキノコ類であった。 平成26年度 輸入食品の放射性セシウム基準違反
なお、平成26年度に、弊財団にご依頼された輸入食品においても放射性セシウムが数件検出された。 ヨーロッパからの輸入食品の放射能汚染の原因は、1986年4月に起きたチェルノブイリ原子力発電所の事故による。検出される放射性セシウム-137は、半減期が30年と長く、現在でようやく半分に減少したことになる。汚染地域は、日本と異なり平原が多く、放射性物質が雨に流されず、土壌に留まりやすい。放射性セシウムを蓄積しやすいベリー類やキノコ類に汚染が見られる。 3.食品の放射性物質汚染の今後の予測東京電力福島第一原子力発電所事故による国内産食品の汚染は、日本の地形や気候により減少に向っている。注意が必要なのは輸入食品である。ヨーロッパから輸入される食品は、時折高濃度で基準違反が見られる。調査数も、国内産食品の調査数に比べると少なく、調査の目を潜り抜けて、基準値超えの食品が国内に流通する可能性がある。輸入食品を取り扱う食品業者は、国内汚染に繋がらないように注意する必要がある。 参考文献東京都福祉保健局ホームページ 食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト 厚生労働省ホームページ サナテックメールマガジンへのご意見・ご感想を〈e-magazine@mac.or.jp〉までお寄せください。 |
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