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求められる異物クレーム対応について②
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コンサルティング室

前号に続き、今月は【異物クレーム対応】について述べさせて頂きます。
異物クレーム対応はケース毎に異なり、詳細は多岐に渡りますが、対応の内容は大きく「社内対応」と「社外対応」に分けられ、それぞれ以下の対応が挙げられます。

社外対応 社内対応
顧客対応 異物特定
取引先対応 混入原因調査
行政等への対応 再発防止、被害拡大防止

例えば、異物の特定や混入原因調査を行う為には、迅速かつ適切な顧客対応による発見時の情報等の入手が必要となります。迅速かつ適切な異物特定が出来なければ、再発防止、社外対応も出来ません。このように、それぞれの対応は密接に関係しており、適切にクレーム対応を行う為には、全ての対応に迅速かつ適切であることが求められます。
 このような対応を行うには、以下の2点がキーとなると考えられます。

① 関係者の認識強化

認識強化には、企業内の関係者の品質管理に関する知識の取得と消費者視点で物事を捉える姿勢が必要となります。
 品質管理に関する知識としては、以下の様な内容が挙げられます。
 ・自社製品にてリストアップされた危害及びそれらの危害評価結果
 ・危害に対する発生防止や流出防止のための管理手段の実施状況
 ・低減促進の為の改善取組み状況
 このような知識を品質管理担当者のみが持つのでなく、お客様相談窓口や前線で顧客・取引先対応する担当者及び責任者が持つべきと考えられます。その上で、企業の顔として顧客・取引先対応を行う担当者が消費者視点に立つことによって、健康被害に繋がる異物の発生時の迅速な情報共有の必要性や、消費者が強く不安を抱いている場合の誠実な説明の重要性を認識することに繋がります。

② クレーム対応システムの構築又は見直し(構築等)

迅速な対応を行う為には、平時からの準備が必要となります。関係者が迅速な情報共有の必要性や誠実な説明の重要性を個々に認識していても、組織的に状況を共有する仕組みがなければ、十分な対応は出来ません。
 もし、仕組みの構築又は見直しを実施されていなければ、食品産業センターから出版されている「食品企業の事故対応マニュアル作成のための手引き」を参考にされることが推奨されます。また、昨年に厚生労働省の「食品等事業者が実施すべき管理運用基準に関する指針(ガイドライン)」に、健康被害等の苦情発生について保健所等への速やかな報告が追加されている為、社外対応の手順についての取り決めについても確認されることが必要です。
 また、危険度の低いと考えられる異物に対する対応についても、この仕組みの中に組み込むことが必要です。食品事業者の初期対応によって消費者の心象は変わります。以前にSNSにて虫の混入の連絡を受けた企業が、同じSNSにて製造日と虫の情報を客観的に返答した事例がありました。この事例では、返答された製造日から虫の混入は企業内ではないとSNSを閲覧していた多くの消費者が判断し、速やかな収束に至り、企業への信頼に繋がりました。このような対応が自社の仕組みにて可能かについての検討が必要です。

おわりに

食品を取り巻く社会の環境は刻々と変化しており、それに伴って、それぞれの立場に求められる対応も変化しています。企業は常にそのような変化について察知出来るようにしておかなければなりません。
 その中で、クレーム対応の真なる対象は、公表された情報を確認する多くの消費者であることを認識し、企業は消費者と大きな隔たりが生じないよう、クレーム発生防止の為の改善を継続的に進めることが求められます。

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