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求められる異物クレーム対応について①
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コンサルティング室

食品業界において、避けることのできない問題の一つに異物混入問題があげられます。
これまで、異物混入問題の発生時において、回収などに発展して情報が公開されるような事態を除いて、異物の内容や関係者間の対応(クレーム対応等)の詳細が外部に知られることは殆どありませんでした。しかし、近年、SNSなどの新たな情報発信システムを媒体として、それらの内容が容易に公開される状況となりました。発見された異物の写真や製造者等のクレーム対応が配信される事例も頻繁に発生しています。
 これまでは異物の発見者への対応のみであったものが、公開される事で多くの消費者もクレーム対応等を知り得ることとなり、その情報によって、多くの消費者は食品だけでなく企業の印象を左右する事態にも繋がります。
 企業は異物混入問題に対してこれまで以上に真摯に向き合うことが必要になっていることを理解しなければなりません。

一方、様々な問題の発生や食品を取り巻く環境の変化を受け、国の対応強化も進められています。
 昨年5月と10月には「食品等事業者が実施すべき管理運用基準に関する指針(ガイドライン)」が改定され、HACCPを用いて衛生管理の基準の追加や、苦情発生について保健所等への速やかな報告などが追加されました。
 確認されてない企業があれば、ぜひ厚生労働省のホームページなどにて内容を確認されることが薦められます。

本稿では、今月号、翌月号に渡って、このような変化の中で企業に求められる異物クレーム対応を中心に紹介を行います。

異物についての考え方

HACCP手法に基づく管理などでは、異物を含め、潜在的な危害を全て列挙し、それらの危害に対して健康への影響の重大性と発生の可能性によって評価を行い、管理手段を選択することが求められます。
 危害評価の例として、イメージとして捉えやすい図が経済産業省 リスクアセスメントハンドブックに掲載されています。

経済産業省HP 製品安全に関する事業者ハンドブック P115
http://www.meti.go.jp/product_safety/producer/jigyouhandbook.pdf

また、(一財)食品産業センターから発行されている「食品企業の事故対応マニュアル作成のための手引き」の中には、食品における健康危害の例示などが記載されています。
 危険度の高い異物は発生・混入防止管理が必須であり、万が一混入問題が発生した場合には、被害拡大防止の為、早急に対象製品の回収を検討しなければなりません。
 これに加えて国内の現状は、健康被害の危険が低いあるいは無いと考えられる異物についても問題として捉えられる場合があります。
 国民生活センターの「食品の異物混入に関する相談の概要(2015年1月26日)」公表によると、2009年度以降累積で16,094件寄せられ、そのうち、「異物によって歯が欠けた」「異物によって口内を切った」など、危害情報は3,191件でした。
 また、食品産業センターの「食品事故情報告知ネット」では、健康被害の危険が低いと考えられる軟質異物による回収事例も多くみられます。
 このように、企業は健康危害評価に基づく対応に加え、食品の品質危害(健康危害の危険は考えられないが消費者の不満足に繋がる危害)においても、消費者の心情を理解した対応が必要となります。

次回は、【求められる異物クレーム対応について②】
「異物クレーム対応」について紹介します。

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