一般財団法人 食品分析開発センター SUNATEC
HOME >2015年、インテグレーション(統合)の年を迎える
2015年、インテグレーション(統合)の年を迎える
一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
理事長 庄司 正

SUNATECメールマガジン読者の皆様、あけましておめでとうございます。2015年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 SUNATECでは 2014年11月末に待望の新検査棟が完成しました。これまで本部にあった栄養分析及び微生物検査等の機能も円滑に移転し、残留農薬検査等を行うATセンターを含めて、全ての検査機能を同一敷地内に統合することができました。
 また、施設整備にあたっては、室外機などを屋内に設置することで周辺にお住まいの方々の生活環境に配慮し、職員の子育て支援のために託児所も設置しました。
 これにより業務の効率化や検査精度の向上はもとより、新たな検査サービスの創設や公益目的事業の推進、さらには地域貢献や子育て支援など社会の模範として行動する基盤が揃いました。
 2015年は、あらゆる知恵を統合して、お客様から社会からなお一層信頼していただけるSUNATECに向けて精進してまいりたいと存じます。

新検査棟画像

2014年は厳しい状況から始まる

さて、2014年は、2013年末の冷凍食品農薬混入事件の報道によって、食品の安全安心に対する消費者や社会の信頼を大きく失墜する事態で始まりました。この事件は、工場従業員の故意による農薬混入事件であったことが、全ての食品事業者にとって非常にショッキングな問題として捉えられました。
 それだけに、アクリフーズ「農薬混入事件に関する第三者検証委員会(第三者検証委員会)」の中間報告(4月30日)及び最終報告(5月29日)には多くの食品関係者から組織の共通の問題として注目が集まりました。
 そして第三者検証委員会は、期待通り最終報告で当該企業だけでなく「社会への提言」として次のメッセージを送っています。
 「・・・一企業の努力だけでは解決に至らず、第二、第三の事件事故を防ぐために今後、社会として検討し、フードチェーンのステークホルダーであるメーカーや流通関係者から消費者までの合意を図るべき問題点も明らかとなった。そのため、本委員会はマルハニチログループへの最終報告書と合わせて、社会への提案も行う。」

農薬混入事件に関する第三者検証委員会最終報告

 SUNATECでは、財団創立35周年記念事業としてこの農薬混入事件を取り上げ、昨年10月28日に第7回食の安全・安心セミナー「人に関わるリスクマネジメントから見た今後の我々の対応」を開催しました。第三者検証委員会のメンバーのお一人、科学ライター松永和紀さんに基調講演をお願いし、その後で活発なリスクコミュニケーションを行いました。
 参加者は149名、食品関係者の一人ひとりがまさに自分たちの問題としてこの事件を捉え、事件・事故を防ぐためになすべきこと、万が一発生した時にはどのように行動すべきなのかを学び、報告書にあるように社会としても検討すべき難しい問題であることも理解する機会となりました。非常に満足度の高いセミナーとなりました。
 また、マルハニチロでは、この最終報告を受けどのように行動したのか、2014CSR報告書特別版「アクリフーズ農薬混入事件の記録」をホームページで公表しています。
 「ヒト(組織)はミスしたことで評価されるのではなく、ミスに気付いた時どのように対応したかで評価される!」
 かつてクライシスコミュニケーションの研修で、小生が今も忘れられない講師の言葉ですが、この報告書はその真髄を知る貴重な事例ではないでしょうか。食品事業者はもとより、行政やコンサルタントなど食品事業者を指導する方々にもぜひ読んでいただきたいと感じています。

マルハニチログループ2014CSR報告書特別版「アクリフーズ農薬混入事件の記録」

食品表示基準の統合:食品表示法の施行

2015年は、食品表示法(平成25年6月28日法律第70号)がいよいよ施行される年を迎えます。これまで食品衛生法、健康増進法、JAS法によりそれぞれ規定されていた食品の安全、栄養、品質の表示基準が、食品表示法の新基準に統合・施行されるのです。食品関係者にとっては、BSE問題が契機となった「食品安全基本法(平成15年5月23日法律第48号)」制定以来の大きな出来事ではないでしょうか。
 もちろん表示基準の遵守状況のチェックなどは個々の法律の規定によって従前通り実施されますし、新基準に対する食品事業者の新たな取組みも必要となることでしょう。
 食品表示基準の統合が消費者や食品事業者にとって高い評価となるように、関係機関の相談窓口は、身近な所に設置して、ワン・ストップ・サービス(窓口の一元化)を実現していただきたいものです。

HACCPの統合を期待

2015年は、厚生労働省「HACCP導入ガイドライン」通知に基づき、各自治体で本年4月を目途に「HACCP管理運営基準」が規定・施行される予定です。ご承知のように、HACCPはFAO/WHO合同規格委員会(コーデックス委員会によりガイドラインとして示され、すでに国際標準として広く普及や義務化が進んでいます。このことから今回の改正は、日本におけるHACCP義務化の第一歩ではないかという声もささやかれています。
 他方、各食品事業者は安全、安心な食品提供はもちろんのこと、より高品質な食品提供ができる仕組みを織り込んでいかなければなりません。すでにISOやTQMなどのシステムを導入し、HACCPを統合して高品質で安全な食品を提供している事業者も少なくありません。
 SUNATECでは、この課題をテーマに本年2月25日セミナーを開催します。

第6回食品衛生セミナー「高品質で安全な食品を提供するために」
~現場視点で考えるHACCP:どうとらえ、どう取り組むか!~

今後HACCP導入の推進が各自治体でどのように行われるのか、安全だけでなく品質なども統合した食品安全安心システムに取り組むにはどうしたらいいのか、多くの食品事業者と一緒に考えていきたいと思います。

 どうか2015年のSUNATECの推進事業につきまして、皆様のご支援とご協力をいただきますようよろしくお願い致します。

他の記事を見る
ホームページを見る

サナテックメールマガジンへのご意見・ご感想を〈e-magazine@mac.or.jp〉までお寄せください。

  
Copyright (C) Food Analysis Technology Center SUNATEC. All Rights Reserved.