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「東海食品衛生研究会」の発足と今後の活動について
東海食品衛生研究会会長 庄司 正
(一般財団法人食品分析開発センターSUANTEC理事長)

「東海食品衛生研究会」は、本年6月、元食品衛生監視員(食監)で現在食品事業関係に勤務する3名の発起人によって次のとおり設立され、10月には幹事会を開催し正式な発足となりました。

東海食品衛生研究会設立趣意書

平成13年のBSE(牛海綿状脳症)問題を契機として、平成15年に食品安全基本法が制定され、食品安全委員会が設置されました。また食品衛生法など関連法律も消費者起点に立った改正が行われ、日本でもEUに習った総合的な食品の安全確保の体制が整備されました。それから早や10年目を迎えようとしていますがこの間、輸入野菜の残留農薬問題、食品偽装・表示偽装事件、輸入食品の毒物事件、重篤な腸管出血性大腸菌食中毒事件、そして放射性物質汚染など消費者の信頼を脅かす様々な事例が次々と発生してきました。
 食品関係者においてはこれらの問題発生に対応するため、安全確保対策に加え、トレーサビリティ制度及びIT技術の導入、また情報公開に努めるなど消費者の信頼を得るため最大限の努力を重ねてきました。しかし消費者の不安はなかなか解消されず、事件が発生するたびに風評被害など様々な課題に直面しているのが現状です。
 私たちは、かつて県庁の食品衛生監視員として事業者や消費者と向き合って様々な経験を積んできましたが、このような状況下では食品関係者の安全確保対策が消費者に理解されるための公益としての取組がまさに求められていることを実感しています。
 これまで蓄積されてきた食品衛生行政と食品衛生協会との協働による食品衛生技術に加え、新たに食品事業者と登録検査機関との良好なリスクコミュニケーションよって創造される食品の安全安心に関する様々な技術を、多くの食品事業者へ普及・導入に資する活動、また行政や公益団体との協創により消費者に対して科学的根拠に基づく分かりやすい食品の安全安心情報の提供活動その他の公益目的活動に取り組み、公衆衛生の向上に貢献することを目的とする「東海食品衛生研究会」の設立を発起するものです。
 平成24年6月29日
設立発起人 
 一般財団法人食品分析開発センターSUNATEC  理事長 庄司 正
  (元三重県職員、食品衛生監視員)
 株式会社トモ 食品衛生本部         本部長 松林 光和
  (元三重県職員、食品衛生監視員)
 養老ミート株式会社 食品衛生推進室    室 長 加藤 義和
  (元岐阜県職員、食品衛生監視員)

別紙資料:規約・スキーム図・役員名簿(PDF:246KB)

 

【設立の背景:貴重な技術情報が活かされていない】

食品の調理・加工・製造・流通・販売等の現場においては、また購入後の消費者の取扱いにおいても、食品衛生法第6条(不衛生食品等の販売等の禁止)に抵触するかどうかに関係なく食品衛生上の問題が日常的に発生しています。健康被害に繋がったケースから、品質上の問題であったり、原料由来又は原料以外の昆虫などの異物混入であったり、異味・異臭などその内容は実に様々です。
 その中で、食中毒のように人の健康を損なったことが明らかな場合は、結果的に6条違反適用、営業者には営業禁止などの重い行政処分が課されることがあります。また、保健所等の行政機関もその原因究明と再発防止のために、原因施設の立入調査や食品検査等を行います。
 しかし、健康被害やその疑いがない事例では、行政機関は品質上の問題等として、その解決は食品事業者と登録検査機関の検査に委ねる場合がほとんどです。従って、登録検査機関には、これまでの検査成績の蓄積により、業種間に共通する課題等が見えていますが、検査・調査結果は依頼者への成績書であり、一般に公表されることはありません。また、行政機関においても、食中毒発生の事実は公表されますが、重大な事件を除いてその原因が何であったのか、関係事業者が再発防止や予防対策に特に知りたい重要な情報が積極的に公表されることはありません。
 これらの食品衛生上の貴重な情報、衛生技術がもっと多くの食品事業者に伝わり、クレーム発生の予防対策に活かされてほしいものです。

食品衛生法第6条規定(PDF:56KB)

 

【様々な食品衛生上の課題に一元的に取り組む!】

SUNATECのホームページでは、メールマガジンのアクセスランキングが公表されています。上位を占めるテーマは、食品の製造加工における微生物汚染や異物・異味・異臭等の原因究明と再発防止に関するものです。上述のようにこれらの問題に行政機関は対応が消極的ですが、食品事業者にとって製造加工等の段階で発生する問題やクレームは日常的なものであり、絶えずその対応が求められています。
 このアクセスランキング結果は、SUNATECメールマガジンが食品事業者に課題解決やクレーム対策として大いに活用されていること、またその課題の内容が何であるのかを物語っているのではないでしょうか。
          SUNATECメールマガジンhttp://www.mac.or.jp/event/mail/ranking.htm
 また、元食監も、OBとなり民間食品事業に携わることで、これまでの行政対象とは異なる食品衛生上の様々な問題点を認識することとなりました。
 これらの現状を踏まえ、食品衛生上の共通するクレームや課題については、その解決のための専門的なセミナーやリスクコミュニケーションを開催する仕組みを作ろう、できれば行政にも呼びかけ、官民の垣根を越えて一元的な課題解決に繋げようと、3人の元食監が発起人となり立ち上げたのが「東海食品衛生研究会」です。
 その活動は、スキーム図にあるように、行政、食品衛生協会、登録検査機関、食品事業者が協働した公益目的活動を目指しています。できる範囲内で、できるところから活動を進め広げていきたいと思っています。多くの関係者の方々にご理解とご協力をいただきますことを願っております。

【東海食品衛生研究会セミナー等の開催のご案内】

東海食品衛生研究会は、その事務局をSUANTECにお願いすることになりました。元食監だけでなく3名の食品事業者にも幹事としてご参加いただき、年明けから本格的な活動を行っていきます。情報発信やセミナー等のご案内は、このメールマガジンやSUNATECホームページ「セミナーのご案内」欄等を通じて発信していきますので ご活用いただきますようお願い致します。

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