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![]() 「異物検査の豆知識」第5回目:異物検査事例(3) 金属片
![]() SUNATEC コンサルティング室 野村早絵子
今回は、食品に混入した金属片を検査した事例を3つ紹介いたします。
1. カットフルーツに混入した金属異物異物は、カットフルーツに混入していた金属片でした(図1)。EDX分析を実施した結果、Fe(鉄):87%, Cr(クロム):13%という元素組成を示す物質であることが確認されました(図2)。
2. パスタに混入した金属異物異物は、パスタに混入していた金属片でした(図3)。EDX分析を実施した結果、異物からはFe(鉄)とSn(スズ)が検出されました(図4)。また、Fe(鉄)とSn(スズ)の組成比は表面と裏面でばらつきがあり、表面はFe(鉄):90%、Sn(スズ):10%であるのに対し、裏面はFe(鉄):95%、Sn(スズ):5%であることが確認されました。 表面と裏面でFe(鉄)とSn(スズ)の組成比が異なることから、スズはメッキに由来するものであり、鉄にスズがメッキされた金属片であると考えられました。このような金属片は、ブリキと呼ばれ、缶詰や缶飲料の缶、金属製のバケツなどに使用されています。製造工程にブリキ製のものがあるかどうか調べたところ、原料が入った缶詰のみ該当しました。製造工程で混入したとすれば、この缶詰の切りくずが異物の混入源であると推定されました。
3. 和菓子に混入した金属異物異物は、和菓子に混入していた金属片でした(図5)。EDX分析を実施した結果、異物はFe(鉄):65%、Zn(亜鉛):35%という元素組成を示すことが確認されました(図6)。また、金属表面には無色透明の粘性のある樹脂状物質の存在が認められ(図7)、この物質についてFT-IR分析を実施しました。その結果、アクリロニトリルとブタジエンに由来するピークがそれぞれ検出され、ニトリルゴム(アクリロニトリル-ブタジエン共重合体)接着剤であると判定されました(図8)。以上の結果より、この異物は、Fe(鉄)及びZn(亜鉛)を主体として構成される金属片にニトリルゴム接着剤が付着したものであると考えられました。
次回も引き続き、異物検査事例を紹介いたします。 サナテックメールマガジンへのご意見・ご感想を〈e-magazine@mac.or.jp〉までお寄せください。 |
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