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独立行政法人 農林水産消費安全技術センター神戸センター
表示指導課 課長 津村明宏
食品表示は、消費者が食品を購入するとき、正しく食品の内容を理解し、選択したり、適正に使用したりするうえでの必要不可欠な情報の媒体となっています。万が一事故が生じた場合には、その責任の追及や製品回収等の行政措置を迅速かつ的確に行うための手がかりにもなります。また、生産者と消費者の信頼関係を築くといった側面も有していると思います。
1.食品表示の現状
食品表示制度は、飲食がもとで起こる衛生上の危害発生を防止することを目的とした「食品衛生法」、原材料や原産地など品質に関する適切な表示により消費者の選択に資することを目的とした「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」、栄養の改善など国民の健康増進を図ることを目的とした「健康増進法」など多くの法律が関係しています。
図1に示すように、加工食品の表示は、名称、賞味(消費)期限、保存方法、製造者(販売者等)及び遺伝子組換え表示について、食品衛生法及びJAS法で義務づけられています。
原材料名、内容量、原料原産地(その原料がどこで採れたものか)等はJAS法、栄養成分表示は健康増進法、食品添加物及びアレルギー表示等は食品衛生法で規定されています。アレルギー表示は卵、そばなど7品目が義務づけられ、大豆、豚肉など18品目が表示を推奨(任意)されています。
上記以外に、米トレーサビリティ法、計量法、景品表示法でも食品表示のルールが定められています
図1食品表示に関する制度
(1)食品衛生法では、次に示すように販売の用に供する食品・添加物に関して表示の基準が定められています。
・食品衛生法第19条第1項の規定に基づく乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の表示の基準に関する内閣府令(第3条) 表示対象品目:牛乳、バター、チーズ、アイスクリームなど、乳、乳製品及びこれらを主原料とする食品
・食品衛生法第19条第1項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令(第1条) 表示対象品目:マーガリン ・清涼飲料 ・食肉製品 ・魚肉ハム、魚肉ソーセージ、鯨肉、ベーコン ・冷凍食品 、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、食肉等
最近では、平成23年4月食肉の生食のよる食中毒事件を契機として、同年10月、牛の生食用食肉(内臓を除く)にかかる表示基準が改正され、生食である旨、一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨などを記載することとされたところです。( http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin705.pdf)
(2)JAS法は、すべての飲食料品の品質に関する表示について、製造業者等が守るべき基準を定めています。生鮮食品にあっては、生鮮食品品質表示基準、玄米及び精米品質表示基準、水産物品質表示基準及びしいたけ品質表示基準。加工食品にあっては、加工食品品質表示基準の他に野菜冷凍食品、農産物漬物等46品目について個別に品質表示基準が設けられています。その他遺伝子組換え食品についても品質表示基準で基準を定めています。( http://www.maff.go.jp/j/jas/index.html)
(4)米トレーサビリティ法は、米穀事業者等は、対象となる米穀等を一般消費者に販売又は提供する時は、米穀の産地情報を伝達する必要があります。特に、平成23年7月から米穀の産地情報の消費者への伝達が義務化されましたが。対象事業者は、米・米加工品の販売、製造業者の他、飲食店も含まれます。
なお、対象品目は、米穀、米粉、米粉調製品、各種弁当、各種おにぎり、包装米飯、チャーハン、オムライス、もち、だんご、米菓、清酒、単式蒸留しょうちゅう及びみりんなどです。対象事業者、対象品目等については、農林水産省HPで確認ください。
( http://www.maff.go.jp/j/soushoku/keikaku/kome_toresa/)
2.食品表示にかかる消費者庁の所管業務
食品表示にかかる所管について、これまでは図2に示すようにJAS法は農林水産省が、食品衛生法及び健康増進法は厚生労働省が所管し、それぞれ企画立案、執行していました。
平成21年9月、消費者庁が設置され、これらの法律に基づく食品表示制度を一元的に所管することとなりました。すなはち、消費者庁はJAS法、食品衛生法、健康増進法に基づく表示策定事務を一元的に行っています。なお、策定に当たっては消費者委員会での検討及び、厚労・農水両省との協議が図られます。
3.食品表示一元化検討会について
消費者庁おいて、JAS法、食品衛生法及び健康増進法の食品表示について一元化に向け、次の検討を開始しました。
(1)食品表示の一元化に向けた法体系の在り方
(2)消費者にとってわかりやすい表示方法の在り方
(3)一元化された法体系下での表示事項の在り方 等
あわせて、(1)栄養成分の義務化に向けた検討(2)特定保健用食品の許可制度についての検討(3)加工食品の原料原産地表示の拡大についての検討についても議論することとされています。
これまで3回の検討会が開催され、24年1月に中間論点の整理をした上で、意見募集及び意見交換会の開催し更なる検討を加え、24年6月を目処に報告書を取りまとめる計画が示されています。( http://www.caa.go.jp/foods/index12.html)
平成23年10月25日に開催された第2回検討会では食品表示の目的・機能及びわかりやすい食品表示のあり方が議論されました。
以下、一元化の検討にあわせて検討することとされている事項の一部を紹介します。
詳しい内容は消費者庁HP( http://www.caa.go.jp/foods/index12.html)で確認できます。
(2)特定保健用食品(特保)の許可制度についての検討
消費者庁において、平成21年11月から「健康食品の表示に関する検討会」を開催し、(1)健康食品の表示の現状の把握及び課題の整理(2)特定保健用食品等健康増進法に基づく特別用途食品の表示制度のあり方(3)いわゆる健康食品の表示の適正化を図るための表示基準のあり方等を検討項目として議論されました。具体的な論点は次のとおりです。
a 特保の表示許可制
・特保の表示許可手続の透明化(審査に必要な試験デザインの枠組み等)
・許可後に生じた新たな科学的知見の収集
・特保の機能を適切に伝える表示・広告方法(特保の広告にかかるガイドラインを作成等)
b 健康食品の表示・広告規制
・虚偽・誇大な表示・広告規制の効果的な執行(インターネットの虚偽・誇大な広告の監視を強化等)
・関係部局・団体との連携促進(薬事法所管厚生労働省との連携等)
・一定の機能性表示を認める仕組みの研究
c さらに検討が必要な課題
・特保の表示許可制度(許可を一時停止できる仕組み等)
・健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組み
( http://www.caa.go.jp/foods/pdf/110930shiryo2_3.pdf)
(3)加工食品の原料原産地表示の拡大
現在、原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品として品質に大きく反映されると一般的に認識されている品目であって、製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の重量の割合が50%以上である商品に表示を義務付けJAS法で緑茶、黒糖など22商品群+4品目について、原料原産地(原材料がどこでとれたか)表示を義務づけています。消費者庁では、義務表示の着実な拡大に向け、消費者・事業者等による意見交換会(平成22年3月29日)、要望の多かった品目についての流通実態調査等を実施し、「黒糖及び黒糖加工品」「こんぶ巻」を義務化することについて、消費者委員会へ諮問(同年11月4日)し、食品表示部会での審議を経て平成23年3月23日に答申を受け、同年3月31日に品質表示基準が改正されました(平成25年3月31日まで経過措置)。
なお、今後の原料原産地表示の拡大の進め方については、平成22年12月に消費者委員会食品表示部会に設置された「原料原産地表示拡大の今後の進め方に関する調査会」において検討が行われ、本年7月6日の調査会報告書において、新たに制定される法体系の下で、原料原産地表示の対象品目や選定方法等が改めて設定されることを期待するとされたところです。
( http://www.cao.go.jp/consumer/history/01/kabusoshiki/syokuhinhyouji /doc/110706_houkokusho.pdf)
プロフィール
津村 明宏(つむら あきひろ)
所属:独立行政法人 農林水産消費安全技術センター神戸センター 表示指導課 課長
経歴
農林水産省神戸農林規格検査所入省後、岡山農林水産消費技術センター、農林水産消費安全技術センター本部などを経て現職
海外経験
・1995年、JICA(国際協力事業団)短期専門家としてコスタリカ国へ派遣(食肉製品の食品添加物の分析)
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