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SUNATECセミナー報告

演題

食品工場の病原性カビによる食品変敗と制御

ご氏名

内藤 茂三

要旨

カビの中には人間の生活にプラスに働いてくれるものも多い。自然界の浄化、それに伴う物質の循環、食品加工などの面でカビは人間にとって有効である。
 しかし自然界には種々の好ましからぬカビが食品工場で生存し、食品を変敗させ、時折人間に危害を及ぼしているのも事実である。最近の食品工場では多くの殺菌剤や防腐剤を多量に使用しているためこれらに抵抗性のあるカビの増殖が著しい。従業員の皮膚、口ひげ、あごひげ、爪、頭皮に感染したトリコフィトン属カビが食品に移行して変敗原因となったこともある。人間の皮膚の一番表面の層である角質層にとりついたカビは白血球が攻撃してくる角質層よりも下にはほとんど侵入できないため比較的早く自然に治ってしまうのでほっておく場合が多い。このため食品工場では従業員に由来したカビが以外と多い。
 トリコフィトン属カビは食品工場の製造工程に棲みつき、時々製品中で生育して問題となる。次に多いのが食品工場の3大カビの一つであるクラドスポリウム属カビである。饅頭等の菓子の黒色斑点、玉子製品の黒色斑点及び惣菜や果実の深緑色斑点は本菌である。角膜真菌症として人の皮膚に増殖し、アレルギーの原因ともなる。体力の弱った従業員には危険なカビである。
 最近、急激に増加してきたのが、オウレオバシジウム属カビである。黒色酵母と総称される一群の菌群で土壌、腐食植物に存在している。食品工場では水を使用する洗い場、洗浄タンク、洗剤を多量に使用する工程に生育し、黒色のドロドロしたカビである。白色、黄色、ピンク色、黒色と変化する。多くの食品に生育して黒色変敗の原因となる。体力の弱った従業員に感染し皮膚、角膜、内臓に病変を引き起こす。
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