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ペットフードの安全確保のために 〜ペットフード安全法に基づく検査について〜

独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)
肥飼料安全検査部 調整指導官 田中 公子

はじめに

「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法:平成20年法律第83号)」が平成21年6月より施行され、私ども独立行政法人農林水産消費安全技術センター(以下「FAMIC」という)は、この法律に基づき、農林水産大臣からの指示を受けて製造業者・輸入業者への立入検査を行っています。また、ペットフード及びその原材料の検査方法の開発・制定を行っています。
 本稿では、ペットフード安全法とそれに基づく検査について紹介いたします。

法律制定の背景

近年、ペットは国民の生活にとって重要な位置を占めるものとなり、犬及び猫の飼養頭数も平成6年から平成20年の間に約1600万頭から約2700万頭へと増加し、ペットフードの市場規模も拡大してきました。現在ペットフードの出荷数量の輸入品と国産品の割合はほぼ半々です。ペットフードはホームセンターやスーパーマーケット、動物病院等で販売されていますが、その種類も総合栄養食のドライフードや缶詰、おやつや躾け用のご褒美として与えられるスナックやガム等様々なものがあり、飼い主は家族の一員であるペットの"食事"としてのペットフードに対して、人の食品と同様の安全性を求めるようになっています。
 このような状況の中、平成19年春、米国でメラミンが混入した原料を用いて製造されたペットフードにより、犬・猫への大規模な健康被害が発生しました。この問題のペットフードは日本国内でも発見され、販売業者により自主回収が行われましたが、国内にはペットフードの安全を確保するための法律がないことへの不安が高まり、「ペットフード安全法」が制定されることとなりました。

ペットフード安全法の概要

ペットフード安全法はペットフードの製造等に関する規制を行うことにより、ペットフードの安全性の確保を図り、ペットの健康の保護、動物の愛護に寄与することを目的としています。
対象となるペットフード
総合栄養食、一般食の他、おやつやスナック、ガム、サプリメント、ミネラルウォーターなど、犬・猫が食べるもので、動物用医薬品等以外の物が対象となります。
ペットフードの基準・規格の設定
国は、製造方法及び表示の基準、成分の規格を定めることができ、その基準・規格に合わないペットフードの製造、輸入又は販売を禁止することができます。 (成分規格・製造基準・表示の基準については「愛がん動物用飼料の成分規格等に関する省令」参照 http://www.famic.go.jp/ffis/pet/hourei/sub1_seibun
kikaku.html
有害な物質を含むペットフードの製造等の禁止
国は、有害な物質を含むペットフードが見つかった場合、その製造、輸入又は販売を禁止することができます。
ペットフードの廃棄等の命令
国は、基準・規格に合わない、あるいは有害な物質を含むペットフードが販売された場合、事業者に対してそのペットフードの廃棄、回収を命じることができます。
製造業者等の届出
ペットフードの輸入業者又は製造業者は国に、氏名、事業場の名称等を届け出なければなりません。
届出は主たる事務所(本社等)が所在する都道府県を管轄する農林水産省地方農政局・農政事務所が受付業務を行っています。
 (手続きについてはこちらを参照http://www.famic.go.jp/ffis/pet/sub2_gyousha.html
帳簿の備付け
ペットフードの輸入業者、製造業者又は販売業者(小売りの場合は除く)は、販売等をしたペットフードの名称、数量等を帳簿に記載することが義務づけられています。
報告徴収、立入検査等
国はペットフードの製造業者、輸入業者、販売業者等から報告を徴収するとともに、製造業者、輸入業者、販売業者等への立入検査を行うことができます。また、国はFAMICに立入検査等を行わせることができます。

ペットフード安全法に基づくFAMICの立入検査

平成21年12月より、FAMICは国からの指示に基づき、製造業者・輸入業者の届出を行っている事業者に立入検査を無通告で実施しています。
製造業者・輸入業者それぞれの業務概要について質問し、帳簿の検査を行います。
1.製造業者の場合
(1)製造概要:製造品目、製造数量、製造工程等
(2)帳簿の検査:原料の受入から製品出荷までの記帳状況等を確認し、また、特定のロットについてトレサビリティーが可能かを確認します。  
・確認する記載事項
製造したペットフードの名称及び数量(製造ロット毎)、製造年月日
製造に用いた原材料の名称及び数量
原材料の譲受けの年月日及び相手方の氏名又は名称
譲り渡したペットフードの名称及び数量(取引毎)
譲り渡しの年月日及び相手方の氏名又は名称
譲り渡したペットフードの荷姿(箱、袋、缶、パレット等)
・2年間の保存の確認
2.輸入業者の場合
(1)輸入概要:輸入品目、輸入数量、製造国等
(2)帳簿の検査:輸入から出荷までの記帳状況等を確認し、また、特定ロットについてトレサビリティーが可能かを確認します。
・確認する記載事項
輸入したペットフードの名称及び数量
輸入時の荷姿(箱、袋、缶、パレット等)
輸入年月日(輸入許可通知書上の輸入許可日)
輸入先国名及び輸入の相手方の氏名又は名称
製造国名及び製造業者の氏名又は名称並びに原材料の名称
譲り渡したペットフードの名称及び数量
譲り渡しの年月日及び相手方の氏名又は名称
譲り渡したペットフードの荷姿(箱、袋、缶、パレット等)
・2年間の保存の確認
製品の表示を確認し、表示の基準を満たしているかを検査します。
確認すべき5項目は以下の通りです。
 1.ペットフードの名称(犬用、猫用であることが分かるように記載)
 2.原材料名(原則として使用した原材料をすべて記載)
 3.賞味期限(年月日又は年月で記載)
 4.製造業者、輸入業者又は販売業者の氏名又は名称及び住所
   (表示内容に責任を有する者について種別とともに記載)
 5.原産国名(最終加工工程を完了した国、包装、詰め合わせ等の行為は含まない)
   なお、表示の検査の対象は平成22年12月2日以降製造のものとなります。
製品の集取を行います。
同一賞味期限、同一ロットのものを対象として、試験用試料及び保管用試料として各1kg程度になるよう任意に採取します。例えば3kg袋入りのドライフードであれば試験用、保管用としてそれぞれ1袋ずつ採取します。100gの製品であれば試験用に10個、保管用に10個の同一製品が必要となります。
 なお、集取品には時価によって対価を支払うこととなっています。
集取品の試験を行います。
集取品は、原材料組成等を参考に試験項目(アフラトキシンB1、有機リン系農薬、酸化防止剤等)を確定し、試験を実施します。
 なお、試験の方法はFAMICで定めた方法で行います。(詳細はFAMICホームページの「愛がん動物用飼料の検査法」http://www.famic.go.jp/ffis/pet/sub4.htmlを参照)
 試験の結果、基準値を超える等問題が認められた場合は速やかに当該事業者に連絡し、必要な対策を講じていただきます。
分析結果の通知
集取品の試験結果は、公表後、関係者に文書で通知します。
これまでの「立入検査に係る試験結果の公表」及び「立入検査実施状況の概要」はFAMICホームページで確認することができます。
 http://www.famic.go.jp/ffis/pet/sub5_inspection.html

販売業者(卸売業者)への立入検査

販売業者への立入検査は、国(地方農政局、農政事務所)が実施することとなっています。販売業者には届出の義務はありません。ペットフードの流通実態と卸売業者の情報を把握するため、地方農政局、農政事務所は平成22年1月から小売業者の調査を実施し、そこで把握した卸売業者に対し平成23年1月から立入検査を実施しています。
 販売業者への立入検査も無通告で行われています。検査内容は下記の通りです。
 (1)卸売業者の業務概要:主な保管場所、年間の取扱量及び品目等
 (2)帳簿の検査:製品の譲り渡しに関する記帳状況等を確認する。また、特定のロットについて
   トレサビリティーが可能か確認をする。
 ・確認すべき記載事項
  譲り渡したペットフードの名称(銘柄名)及び数量
  相手方の氏名又は名称、譲り渡しの年月日
  譲り渡したペットフードの荷姿(箱、袋、缶、パレット等)
 ・2年間の保存
 (3)表示に係る検査:表示の基準(前述の5項目)を満たしていることを検査します。
 (4)集取:集取品はFAMICで分析を実施します。
   (集取方法は前述の製造業者・輸入業者の立入検査時の方法と同じ)

検査実績

平成21年度(平成21年12月〜平成22年3月)の立入検査場所は16カ所(製造業者10、輸入業者6、集取点数8)
 平成22年度の立入検査場所は67カ所(製造業者26、輸入業者27、販売業者9その他保管倉庫等5、集取点数40)
 平成21、22年度の検査では、違反が認められた立入検査場所はありません。

おわりに

・ 基準・規格については、今後、かび毒ではデオキシニバレノール、重金属ではカドミウム、鉛、ヒ素、有機塩素系化合物ではBHC、DDT、アルドリン・ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル・ヘプタクロルエポキシドの基準値が追加されます。
 ・FAMICにおいても科学的知見を集積し、分析法の改訂・開発を検討していきます。
 ・ペットフードの製造業者、輸入業者、販売業者は、ペットフードの安全確保に第一義的な責任を有していることを認識し、安全確保に関する知識及び技術を習得して各事業者が相互にこれを共有し、ペットフードやその原材料の安全を確保する、万が一、有害なペットフードの流通が明らかになった場合は、各事業者が連携して一刻も早く回収等を行うなどの基本的な考え方に立って、事業活動を行うことが極めて重要です。私どもFAMICも国及び各事業者と情報を共有し、立入検査等で基準・規格等に則ったペットフードの製造・輸入が行われていることの確認を行ってまいります。
著者略歴

昭和61年3月     日本獣医畜産大学大学院獣医学研究科終了

昭和61年4月より   農林水産省動物検疫所勤務

平成21年4月より   現職においてペットフードの検査を担当

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