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上記のように年々複雑化している食品表示制度であるが、消費者は日常の食生活において表示に対しどの程度関心があり活用しているであろうか。また、その前提となるルールについての理解度はどの程度だろうか。
食品の表示ルールは、日常の食生活において活用することから、出来るだけ若年層において普及・啓発することが望ましいが、現在、当該分野については、小学校の高学年及び中学校の家庭科において学習する機会がある。
このことを踏まえ、小学校6年生と中学校2年生を対象にアンケート調査を行った。その中で、「食品を買う時に表示を見るか?」についての問いに対しては、両学年とも約6割が「自分が必要な部分を見る」と答えた(図−5)。
また、最も見る項目としては、「価格」が約9割、「期限」が約8割、「原産地」が約5割であった。ついで高い「栄養」表示については、ダイエットを気にする観点で、特に中学生女子の約半数が見ていた(図−6)。
また、こうした若年世代に対して、表示ルールを効果的に理解させる方法としてクイズ方式を試みた。「期限表示」、「有機農産物」、「遺伝子組換え」など各分野の表示ルールについて、クイズを出し、その正解率により理解度を把握するとともに、彼らたちに興味を持って理解してもらうことがねらいである。その結果、平均の正解率は33%で、特に食品マークに関する理解は低かった(図−7)。
こうしたクイズ方式による学習方法に対して、小学生(約3分の2)、中学生(約4分の3)ともに関心を持つという結果が得られた。
一方、高齢者(65歳以上)と大学生についての比較アンケート結果によれば、特に女性が表示に関心が高く、かつ不満も大きいことが明らかとなった(図−8,9)。また、高齢者は男女ともに、「細かくて見にくい・大きくして欲しい」という不満の意見が強かった。現在JAS法では、「8ボイント以上」の大きさを規定しているが、表示可能面積が「150cu以下の場合は5.5ボイント以上」でもよいことになっている。
そこで、実際に販売されている豆腐、納豆、醤油など高齢者が日常よく購入する食品5種類延べ60検体について、表示の大きさを調査したところ、5.5〜10.5ポイントの範囲で表示されていた。
一方、高齢者を対象に「正確に認識できる大きさ」を調査したところ、「14ポイント以上」を望んでおり、明らかに実態との差があった(図−10)。
表示ルールが厳格化し、かつ不正事件が頻発する中で、食品の供給サイドとしては、法令順守に傾注せざるを得ない状況ではあるが、表示は法令のためではなく、本来消費者のためという原点に立った対応が望まれる。 |
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(図−5) 小中学生の食品表示に対する関心度[266名対象] |
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(図−6) 最もよく見る表示としては、「価格」が約9割、「期限表示」が約8割「原産地」は約5割を占めていた |
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(図−7)クイズによる理解度の状況
10問の平均正解率:33%
特に正解率の低い分野:食品マーク |
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(図ー8)高齢女性は表示に関心が高い |
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(図ー9)高齢者は表示に対する不満大 |
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