グァーガムは、グァーの種子から得られた多糖類が主成分です。極めて安価ですので、アイスクリーム、和菓子、水産ねり製品、サラダドレッシング、タレ、スープ、ソースなどに、増粘剤、安定剤あるいはゲル化剤として広く用いられています。(食品ラベルには、「増粘多糖類」と表示される場合が多い。)
マメ科の穀類でありますグァーの主産地は、インド及びパキスタンです。2007年8月、スイスのユニペクチン社のグァーガムから製造されました食品添加物及びそれを使用しましたアイスクリーム等の食品の世界的な回収問題がありました。ダイオキシン及びペンタクロロフェノールによる汚染が原因でした。
この問題の解決のために2009年10月に実施されましたThe Food and Veterinary Officeの視察報告書(FVO India 2009-8329)には、「視察チームは、現在も、インドでペンタクロロフェノールナトリウム(PCP)が製造され、グァーガム業界での使用に関する宣伝が行われているとしている。現在、26 のグァーガム輸出業者が欧州向けの輸出を認可されており、これらの企業にはHACCP 認証システムがある。民間の認証検査機関は、PCP については十分に検査できるが、ダイオキシンに関しては十分な分析能力がない。グァーガム中のPCP やダイオキシン類の汚染源は依然として不明である。」と記載され、「グァーガムの汚染の程度は当初考えられていたよりも広範囲にわたることがわかった。PCP の製造・販売に対する管理策の欠如は、今後も汚染の可能性を除去できないことを意味する。従って、輸出前の効果的な検査が、欧州における汚染の再発を防止する唯一の方策である。」とされました。
日本も、多量(平成19年度報告書:約2,517トン)のグァーガムを輸入していますが、厚生労働省の横浜及び神戸の輸入食品検疫・検査センターはダイオキシン類の検査能力を有しないと思われます。そこで、消費者の安全を確保するために、行政における検査体制の確立、輸入者による自主的な検査が必要です。 |