食品衛生法第4条で、「食品とは、全ての飲食物をいう。但し、薬事法で規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」と定義され、飲食するものを薬事法と食品衛生法で二分するが、この2つの法律の原則は全く逆である。薬事法では、承認事項以外は原則禁止、食品衛生法では、禁止事項以外は原則自由である。
規制の掛け方の違いの事例として、管理者を取り上げると、薬事法では、医薬品製造業、薬局には、管理薬剤師を、医薬部外品製造業には、責任技術者として、薬剤師(品目によっては、大学等で薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者等の緩和された要件)を、化粧品製造業にも責任技術者(薬剤師あるいは高校またはこれと同等以上の学校で、薬学または化学に関する専門の過程を修了した者等)を置くことが義務付けられている。即ち、薬事法のいかなる「業」をなすとしても、薬剤師等の管理者を設置しなければならない。
食品衛生法では、食品衛生法施行令第35条で基準が定められた34業種(飲食店営業、喫茶店営業、菓子製造業、・・・・・添加物製造業)の内、食品衛生法第48条による食品衛生管理者の設置が義務付けられるのは、食品衛生法施行令第13条に掲げられた全粉乳、加糖粉乳、調製粉乳、食肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、放射線照射食品、食用油脂、マーガリン、シヨートニング及び添加物(規格あり)の製造だけである。他の「業」では、食品衛生管理者を設置する義務はない。食品衛生管理者を設置することなく自由に業を営むことができる。
禁止事項以外は「原則自由」の食品衛生法に基づき、様々な課題に対応するための膨大な「通知」が出され、一方では行政の裁量権が発揮される。ここに、企業におけるリスク発生要因の一つがある。
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