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生食用かき規格基準
 食品衛生法で「生食用かき」は、成分規格と加工基準が定められている。この規格は1967年11月から施行された(前年の12月、ある産地のかきによる食中毒が11都府県で129件、1596名の患者発生)が、佐藤忠勇さんが浄化システムの特許を取得した12年後のことである。
 主な部分は次の通り(抜粋)である。
成分規格
(1) 細菌数は、検体1gにつき50,000以下でなければならない。
(2) E.coli(大腸菌)最確数は、検体100gにつき230以下でなければならない。
(3) むき身にした生食用かきの腸炎ビブリオ最確数は、検体1gにつき100以下でなければならない。(H13年から)
加工基準
 原料用かきは、海水100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海域で採取されたものであるか、又はそれ以外の海域で採取されたものであって100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海水又は塩分濃度3%の人工塩水を用い、かつ、当該海水若しくは人工塩水を随時換え、又は殺菌しながら浄化したものでなければならない。
 ※魚の場合、刺身(生)で食べられるかどうかの基準は魚の鮮度である。しかし、生食用かきと加熱調理用かきの違いを正確に知っている人は少なく、かきの鮮度と思っている人がまだまだ多い。酢ガキに加熱調理用を使ったり、鮮度がいいから生で出す事例がなくならない。
 生食できるかどうかは、上記加工基準の規定により、どこの海域で採取されたかどうかで決められ、鮮度ではないのだ。生食できるのは大腸菌群最確数が70以下の海域(清浄海域:生活排水の影響の少ない海域)で採取されたもの又は浄化されたもので、かつ上記成分規格をクリアーしていなければならない。いくら鮮度がよくても生活排水の影響の大きい海域は、病原微生物汚染の可能性が高く生食が禁止されている。
 しかし、殺菌海水の浄化によってせっかく細菌数300以下、大腸菌最確数ゼロとなった殻付きかき(無菌)を、前浜や活魚水槽で保存して微生物再汚染を引き起こし、結果的に食中毒を起こしてしまう情けない営業者がいる。かきの衛生対策が全く理解できていない。
 殻付きかきの保存は乾式貯蔵(水に漬けない)が原則である。殻付きかきは、普通の冷蔵庫でも3日は十分持つし、クラッシュ氷を詰めた発砲スチロール箱であれば、三重県の保存試験では2週間成分規格をクリアーしていた。佐藤忠勇さんの言ったとおりだった。

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