平成19年11月15日に食安発1115001号「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドラインについて」(以下、『妥当性評価ガイドライン』と略す)として、農薬等の試験法の妥当性を評価する(Validation)ガイドラインが厚生労働省から通知され、約2年が経とうとしています。
よく「通知試験法通り行ってもうまくいかない」といったことを耳にしますが、通知試験法は、『妥当性評価ガイドライン』にも記載されているように「原則、試験法を適用しようとする食品から選択」され、妥当性の確認が行われているという事情もその理由の一端を担っています。特にポジティブリスト以前のネガティブリスト時代に構築されていた試験法は、基本的に食品と基準値が確実に紐付いていた(一律基準という観念はなく、試験法は、基準値が設定されている食品のみ妥当性が確保できていればよかった)ため、基準制定をする食品以外での「適用可否」については考慮しなくても良かったわけです。
しかし、現在の輸入検査での違反事例を見ると一律基準や暫定基準違反が多く、試験法の妥当性が確認された食品とはしばしば違うことがあります。登録検査機関が受け持つ「命令検査」でも、追加精製や測定方法の変更(カラム、移動相、質量分析計)を行う必要性が高まってきています。そのような際にはこの『妥当性評価ガイドライン』に沿った各パラメータの妥当性確保のデータが必要とされ、そのデータを添付して、受託の申請を行うことになります。この『妥当性評価ガイドライン』中の要求事項はあくまで、「通知試験法以外で食品衛生法の適否を判断する試験法」の場合に限定されるのですが、逆にこれを利用し、自室で構築した試験法を『妥当性評価ガイドライン』で評価すれば、その自室試験法が基準値判定にどの程度対応できる性能を有しているかが理解でき、非常に有用な情報となります。
以前から、通知試験法の変更は、「同等以上の性能を有する試験法で行うこと」とされてきましたが、この『妥当性評価ガイドライン』で、ようやく同等以上とはどういうことなのかが決まったことになります。では、その内容を確認することとします。
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