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かびによる危害-材質劣化、食品劣化、アレルギー現象-
愛知学泉短期大学食物栄養学科 教授 内藤茂三
1.はじめに
 カビはあらゆる環境の下にも生育し、生活のために必要なエネルギーと菌体構成成分を周囲の有機物を分解することにより獲得している。動・植物の遺体や厨芥、排泄物を分解するカビがいなければ、地球上はたちまち死体と廃棄物の山となってしまう。
 このようにカビによる物質の分解は人間をも含めた全生物にとって明らかに有益なものであるが、一方カビは人間にとって有用な有機物製品も分解、変質させてしまう。すなわち、食品の変敗、変質、建築用その他の資材の変形、変質、劣化、分解、崩壊が行なわれている。食品工場、病院、家庭の場においてもカビによる材質劣化、食品劣化及びアレルギー現象が起きている。
2.カビによる材質の劣化
 カビの侵害を受けると、食品では商品価値を失うか、食用にできなくなるか、または、中毒や疾病を起こす原因となるが、その他の物品も商品価値を失い、変色、変質、腐食などにより、本来の機能に障害を生じ、不慮の事故を起こすこともある。
 食品又は物品がカビの侵害により、腐敗や変質して機能を失うことを生物的劣化という。これが起きるのは、その原材料が生産されたときから、製造、加工、保存、輸送、販売、消費の過程で、混入するカビが、生育に適する条件が与えられたときである。同じ環境条件のもとでも食品に腐敗しやすいものと、しにくいものとがあるように、工業製品でも、ガラスや金属を主体とするものと、天然の木材、繊維、ゴム、皮革とでは微生物の侵害の様相は全く異なる。
 建築木材の腐朽は木造の古い家に良く見られる。これはナミダタケやイドタケなどの木材腐朽菌によって引き起こされる。木材の成分を分解し、木材の機械的強度を落とす原因となる。このように、品質劣化を起こすカビは微生物の生育しそうでもないところに生育し、害を与える。例えば、高温高湿のところでは、鍋のフタ、生産機械、光学機械のレンズや科学装置のガラス部分がその上に生育した菌類によって、急速に損傷を与える。
 最近、ケロシンをベースにした燃料の貯蔵タンクや航空機の燃料タンクに菌糸体が生育し、航空機のパイプやバルブが菌糸体でつまるという危険な現象があった。さらに菌の生育によるタンク壁の腐食が認められた。この燃料タンクに生育しているのは、子嚢菌の一種でケロシンカビ又はクレオソートカビと呼ばれるクラドスポリウム属のカビであった。
 電機製品や家庭用機器のカビ災害は材料として用いられている塗料や接着剤に原因することが多い。塗料には乳化剤、海面活性剤、保護コロイド、可塑剤、増粘剤、その他の添加剤の窒素や炭素あるいは塩類を栄養源として微生物が生育する。電気製品、精密機械、測定用機器、テレビなどのプリント配線板や被覆電線などに微生物が繁殖すると電気絶縁性が低下し、雑音の発生や電気特性の変化がおこり、ついには使用不可となるばかりでなく火災の原因となる場合もある。
 麻、木綿、紙はセルロース分解菌により、羊毛はケラシン分解性の菌によって劣化がおこる。ビニロンやナイロンのような合成繊維は綿や羊毛に比べて微生物による侵害は受けにくいが、クラドスポリウムや他の菌によって劣化がおき、繊維の脆弱化が招く。繊維では肉眼的に菌の生育が認められない早期にすでに、微生物による災害が起こっていることが多く、また繊維はのりを用いるので、これに微生物が生育する。表1にカビによる材質の劣化を示した。
表1 カビによる材質の劣化
3.カビの一般的な防除法
 食品その他の物品のカビによる被害を防除するには、カビの汚染をさけ、生育の好適条件を与えないようにすることである。
 すなわち、物品の生産、製造、加工、保存のすべての過程で汚染されないように、清潔にして殺菌及び除菌を行い、温度、湿度、汚れなどに注意してカビ増殖させないようにする。殺菌法としては加熱、紫外線、オゾン、超音波などの他に物品には食品には使用できない殺菌剤や消毒剤が使用することができる。消毒剤は一般的にカビの生活機能を全般に破壊し、抗生物質は特定の細菌を選択的に死滅させ、防腐剤はカビの発育を抑制するものでが多い。
 消毒剤は速やかに原形質全般の機能を奪うもので、たんぱく質沈殿剤、細胞固定剤と共通のものが多い。
 重金属(水銀、銅、銀の塩、四酸化オスミウム、エチルアルコール(60〜70%)、逆性せっけん、酸化剤(ヨウ素、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム)、フェノール、クレゾールなどがこの作用を示す。
 原形質界面などの脂溶性部分に溶解し、機能を害する親脂溶性物質では不飽和高級脂肪酸(オレイン酸、リノレイン酸、リノール酸)の塩が強い殺菌作用をもつ。無機酸や無機強アルカリにも殺菌作用がある。
 消毒薬とカビをどのように接触させるかが問題であり、基本的には液浸、噴霧、塗布の3つがある。液浸は、消毒薬を適切な濃度に薄めた液体の中に、器具等を一定時間浸すことです。噴霧は、広範囲にわたる場所をなるべく早く消毒したい場合には、スプレーで撒くものです。塗布は、壁面あるいは人体などを対象する場合に行なわれる。噴霧よりも時間と手間がかかるが、隙間を残さないで、より多くのカビを確実に消毒薬に接触させられるという利点がある。
 最近、食品工場ではカビの防止にオゾンガスやオゾン水が利用されている。
4.食品工場、病院及び家庭環境に生育するカビ
(1)食品工場、病院、家庭住居のカビ
 食品工場、病院、マンション、ホテル、個人住宅、ビル事務所等は密閉性が良好であり、暖房等により室内は冬でも暖かく、乾燥している状態となっている。外気との温度差の大きい冬季においては、室内の壁面、窓ガラスに結露し、壁面の内装材の表面や塗装面にカビが多く発生する。
 カビの胞子は空気中に飛散し、室内の空気を汚染する。また、空気中に浮遊している胞子はエアコンの吸入孔から空調装置の内部に入り、繁殖に適したプラスチック部分や塗装面、エアフィルターなどで繁殖する。そしてこれらの部分を通過する空気と共に胞子がダクトを通り室内の空気中に放出される。空気中に浮遊するカビの胞子が多くなると、アレルギー性の気管支炎やぜん息の発作が起こる場合が知られている。そしえ、床とじゅうたんの間や壁にカビが繁殖すると、ダニがカビの匂いによる集まってきてエサとする。ダニや小動物のいるところはカビが必ず発生している。また観葉植物はカビの発生源でもある。繁殖する主なカビはアルテルナリア、クラドスポリウム、トリコデルマ、オーレオバシジウムなどである。
 室内のカビの発生を防ぐには、室内のエアコンを掃除してカビのエサになるものを除去しておくことが必要である。室内がカビの発生しやすい条件(60〜70%の湿度、20〜25℃の温度)を避けるように窓を開けて風を通すとよい。
さらに結露の出来やすい壁、窓や畳の下に断熱材(厚手のカーテン、日よけシート)を張るとよい。
 湿気の多い日本はカビの多い国である。梅雨時期のみならず冬にも結露が起こり、部屋全体にカビが発生する。結露は急激に室温が下がったり外気温との温度差が大きくなったりすることで、室内の暖められた空気に含まれた水分がガラス窓や壁紙に水滴となって現れる。
結露が原因となって生じる現象
(1)カビが生える原因となる。
(2)カーテンなどが汚れる。
(3)壁など建材が傷む。
(4)異臭がする。
(5)湿度の変化により体調及び気分が悪くなる。
 結露には、目に見える結露(表面結露)と建物の内部で起こる結露(内部結露)がある。表面結露は冷蔵庫から出したものの表面に水滴が付いたり、朝起きたときに窓ガラスの表面にびっしり水滴がついている現象である。また、冬、締め切った部屋で鍋物をしたりお湯を沸かすと窓に水滴がつくものでこれらは全て、そのものの表面に発生するので表面結露と呼ばれる。
 内部結露は押入れの床や壁のクロスからカビが生え、あるいはジトジトと湿気を帯びているとか、畳をめくると、裏面がベタベタしている現象は建物内部から発生してくるもので、内部結露と呼ばれている。また流しの下の結露も多く、排水パイプの表面に結露しやすい。金属は特に結露しやすく、塩化ビニール等のビニール管は結露しにくい。
 最近の食品工場、病院、個人住宅は多くの新建材が使用され、塗料を塗り、プラスチックが多く使用されるようになってきた。木材や繊維と異なって塗装膜やプラスチック製のシートは空気が通過しないため、家の内部がむれ、アルミサッシが水分を遮断して室内の湿度が高くなっている。このため室内ではカビが多く増殖して、健康を損ねることがある。
結露防止対策
(1)換気扇等で換気をする。
(2)除湿機や除湿剤を使って除湿をする。
(3)暖房器具の見直し。石油ストーブやファンヒーターの燃焼系の暖房器具は水蒸気を発生させる。
   エアコンやオイルヒーターなどの非燃焼系の暖房器具にすると結露防止になる。
(4)器具や家具の配置を改良する。室内に空気が滞留しないようにする。
(5)観葉植物を置かない。観葉植物からは多くの水分が出ている。
(6)結露防止シートを窓ガラスに張る。
(7)結露防止ヒーターを窓際に設置する。
(8)結露取りワイパーをつける。
(9)結露吸水テープを張る。
(10)結露防止スプレーでスプレーする。
 日本の木造住宅の多くは天井に杉板、土壁や障子、フスマで囲み、床を高くして畳を敷いているので高温多湿の日本の夏に適した住宅である。しかし、日本の木造住宅にも暖房等により床下、窓、壁等に結露が起き易く、木材が湿りがちとなり、カビが繁殖する。
 この木材腐朽菌はキノコの一種で白色のものと褐色のものとがある。これらのカビは木材又は生きた樹木について、木材の含水率が25%以上となるとよく繁殖し、セルロースやリグニンを分解して木材を腐らせるので床下等の通気をよくすることが大切である。このため最近の建築会社では木材に薬剤を塗布するか、薬剤液に含浸させて用いている。耐朽性の強い木材としてはヒノキ、クリ、ケヤキ、ヤマサクザラ、ベイヒ、チーク、タイヒ等がある。表2に建築物の腐朽カビを示した。
表2 建築物の腐朽カビの種類
(2)水を多く使用する場所のカビ
 水を多く使用する部屋は、湿気が多く温度が高いのでカビが生育しやすい。天井、壁、タイルの目地などの黒い斑点が発生する。これはカビの集落でクラドスポリウム(黒、ダークグリーン)、フオーマ(灰色から赤色)、ペニシリウム(青黒色)、アルテナリア(黒)、アースリウム(黒)、オウレオバシヂウム(黒)等である。このほか浴室からは酵母としてロドトルラ(赤黒色)、カンジダが細菌としてはミクロコッカス、スタフィロコッカス、ペディオコッカスなどの球菌が分離されている。浴室の材料(タイルの目地、コンクリート部、シリコン樹脂)の多くがアルカリ性であるので、さらに石鹸やシャンプー等もアルカリ性が多いのでアルカリ耐性のカビが多い。
 タワシでよくこすりとり、TBZ(チアベンダゾール)のような殺菌剤や市販のカビとり剤を用いるとよい。
(3)厨房や台所のカビ
 家庭の中で一番カビの生えやすい場所である。食品の加熱調理により発生する水蒸気は食品あるいは器物に水分を与える、焙焼、油揚げなどによって揮発する有機物は壁、天井などに付着して栄養分を与え、また加熱による室温上昇によりカビが生育する。流し台の周囲の防水シリコンの目地とか、排水孔などには食物の残りかすが付着し、カビが繁殖しやすい。シリコンにはクラドスポリウム、アルタナーリア、オーレオバシディウムなどの黒色のカビが生育しやすい。また調理台の周囲や湯わかし器の上部も湿っていて、カビが発生しやすい。窓のアルミサッシもほこりと油で汚れやすい。特にガラスを保持している塩化ビニール製のシール部分にクロカビが生える。
 したがって、台所の換気をよくして、調理台、流し台、湯沸かし器、ガスレンジ、食器だな、床、窓などを掃除することがカビの発生防止対策となる。
(4)調理器具及び台所用品のカビ
 調理器具の中で特にまな板、包丁、フキンなどはカビに汚染されており、それが食品を変質させたり、食中毒を起こす原因となる場合がある。木製のまな板は適度の水分があり、包丁の傷で食物残渣が残りやすく、汚染源となる。
 傷の付きにくい含水性のないプラスチックや合成ゴムのまな板が多くも用いられるようになってきた。
 包丁も金属部分の傷や金属と柄の接合部に食品成分が入り込み、カビが繁殖しやすい。またフキンもカビによって汚染されている場合が多いので、フキンをこすりつけることによりカビを付けていることがある。このようにまな板、包丁、フキンはカビが繁殖しやすいので、使用後は洗浄、消毒、乾燥を行なっておくことが大切である。
 食器や野菜を洗う台所用洗剤の原液にはカビは生育しないが、原液が皮膚に付くと皮膚が荒れたりするので、予め水で薄めた洗剤をビンに詰めて使用している人が多いが、気温が高くなる夏季においてはこの薄めた洗剤のなかでカビが増殖している場合がある。
5.クラドスポリウム属カビによる食品の変質について 最近、食品の変質で大きな問題となっているカビにクラドスポリウム属がある。
(1)一般性状
 コロニーは中程度の速さで発育し、拡大し、ビロード状から羊毛状、灰緑色からオリーブ緑色で、裏面は暗色を呈する。分生子柄は直立し、隔壁があり、着色している。
分生子は1〜4細胞性、暗褐色、暗緑色、表面平滑か時に棘状(とげじょう)、バラバラになりやすい分岐性連鎖を形成する。
 多くの種類は表面が緑かかった褐色または黒色で、ペレット状のケバがあり、盛り上がって、ややヒダ状となる。表面は黒色である。
 大部分の菌種が非病原性であるが、黒色酵母菌症の原因菌(Cladosporium carrionii)の菌もある。本菌の特徴は表面が暗色で、中央がやや隆起しているが扁平である。ベルベット状の鈍い灰色、灰緑色、または褐色のけばだった菌糸に覆われている。裏面は黒い。黒色酵母菌症の原因菌で、とくにオーストラリア、ベンズエラ、南アフリカでは最も多く見られる。発育速度は遅く、21日程度成熟にかかる。
 通常のクラドスポリウムは非病原性で、一般的に腐生性の工場汚染菌である。発育速度は中程度に速く、25℃、7日以内で成熟する。ほとんどの菌種は37℃で発育しない。
 クラドスポリウムはクロカビといわれ、集落(コロニー)の大きさは小から中で暗緑色、オリーブ色、ビロード状、裏面は黒色から暗緑色である。
 中温性、好湿性で乾燥や高温で死滅する。
 浴室、洗面所、台所、結露壁面、空中、ダスト、植物、土壌、食品から普通に検出され、空中に最も多い、住環境、工場汚染の原因となるカビの代表である。
 被害としては食品や原材料への汚染による変色、劣化、腐敗が中心でたまにカビのアレルゲンとなる場合もある。
 食品工場で最も多く生育するカビである。本菌は食品工場のみならず、病院の黒い汚れ、一般住宅の黒い汚れとして検出される。その種類は圧倒的にCladosporiuim clodosporioidesCladosporiuim sphaerospermum の2種が多く検出されている。
(2)最近発生したクラドスポリウムによる食品の変敗
1. 卵殻内部の黒色異物
スーパーマケットで卵を購入し、冷蔵庫に保管しておいた。4日後に割卵したら、卵殻の内部が黒色のカビのようなものが付着していた。
原因カビ:Cladosporiuim sphaerospermum
2. 和菓子を購入して開封したら、表面にカビがはえていた。
箱入り和菓子を購入したら黒いカビがはえていた。本品は脱酸素剤が使用されていたが、未開封品、工場生産直後品のいずれにもカビがはえていたので工場での汚染が原因であった。
原因カビ:Cladosporiuim clodosporioides
3. 饅頭の表面に黒色斑点
饅頭を箱から出したところ黒色の斑点がみつかった。脱酸素剤を使用していたがシール不良によるピンポールがみつかった。  本菌は比較的低酸素濃度でも生育できるが、半生菓子であるため水分が25〜30%であったため、水分中の酸素を吸収して生育したものと考えられる。
原因カビ:Cladosporiuim clodosporioides
4. 弁当に入っていた卵焼きに黒色の異物
昼食として提供された弁当の卵焼きの部分が黒くなっていた。クロドスポリウム属のカビであった。卵焼き製造工場で二次汚染されたのが原因であった。
原因カビ:Cladosporiuim clodosporioides
5. サクランボに深緑色斑点
市場で購入したサクランボに深緑色斑点があった。これはクラドスポリウム属のカビであった。
原因カビ:Cladosporiuim sphaerospermum
6.カビが原因で発病
(1)カビが原因で起こる病気
 かびが原因で起こる病気には、大別してアレルギー性疾患、感染症、カビ中毒の3つがあります。空気中にはさまざまなカビの仲間、真菌の胞子が浮遊している。また人間の皮膚や粘膜、腸管にもカビは生息している。多くの人は何の異常も現れないが、体力が低下してくると皮膚の異常や毒素を出して体に異常を起こすことがある。水虫やシラクモは白せん菌というカビの一種であり、頭皮の皮脂に常在するマラセチアというカビが増殖すると湿疹が生じ、ベタついたフケが多く発生する。カンジダ菌も皮膚、粘膜、腸管内に生息しており、種々の条件(高温、多湿)で増殖し、皮膚は口腔、爪に炎症を起こす。
 肺の中で真菌が増殖する感染症を肺真菌症という。日本ではカンジダ症のほかに、肺アスペルギルス症、クリプトコッカス症が多く見られる。いずれも真菌(カビ等)が肺で増殖し、毒素を出して肺の組織に障害を与え、肺に空洞ができるのが特徴である。
 肺アスペルギルス症は、200種類以上のあるアスペルギルス属のカビが肺で増殖して菌塊を作ることで起こる。
 クルプトコッカス症は、ハト、ニワトリの糞や土壌中に存在する菌を吸い込んで発病する。多くは無症状であり、健康診断で発見される。咳、胸の痛み、微熱が出る。
(2)アレルギー性疾患
 アレルギー性疾患はカビの胞子がアレルギーを引き起こすもので、特に気管支喘息や鼻炎があげられますが、これらがすべてカビによるものというわけではなく、ダニや花粉等にも起因している。
 ススカビと呼ばれる「アルテナリア」というカビの場合は、胞子が大きく、これが鼻の中に止まってアレルギー性鼻炎を起こす場合がある。
 家庭内で起きるアレルギーの原因の一つに、ハウスダストがある。文字通り、家の中のホコリという意味であるが、その成分はカビ、フケ、髪の毛、垢、花粉、土砂、繊維クズ、ペットの毛、ダニ、昆虫、細菌とあらゆるものがある。ホコリでは死なないとよくいうが、アレルギーはかなり深刻であり、また老人や体力の弱っている人は免疫力が低下しているためホコリに含まれるカビ等によりアレルギーが発生することがある。ハウスダストアレルギーの主要な原因(アレルゲン)としてダニの死骸や糞があげられる。ダニの繁殖条件は、温度20〜30℃、湿度65〜85%、フケや垢、カビをエサとして増殖する。カビの多い部屋には必ずダニの生息している。
 じゅうたん、畳、布団、ぬいぐるみ、カーテンはカビが多いためにダニが生息しやすいです。こまめに掃除機をかけることが必要である。最近の掃除機のフィルターは目が細かいのでアレルゲンは通さない。
 このようにカビまたはその代謝物によって、アレルギー性疾患のおこることがあるが、一般には家庭の空気中のカビの胞子がアレルゲンとなることが多い。カビによるアレルギー疾患としては、気管支ぜん息、じんましん、アレルギー性結膜炎及び胃腸炎などがある。表3にカビによる主なアレルギーを示した。
表3 カビによる主なアレルギー
(3)食品工場、病院、家庭のカビの防除
 カビの発生の条件は温度20〜30℃、湿度70%以上、栄養分の3つである。カビ対策の一番は湿度を下げることである。ただし現在流行している新型インフルエンザ(関西地方を中心に約200名感染)予防には湿度が必要であるので判断は難しいが、湿度計を置いて50〜60%ぐらいがよい。そのためには2カ所以上の窓を開けて風通りをよくすることが必要である。花粉症などで窓を開けられない人や高層マンションで窓が開かない場合には、換気扇や扇風機、冷房の除湿器を活用する。
 エアコンのフィルターは月一度掃除し、使い始めには30分ほど窓を開けたまま送風する。カビ対策に強い薬剤を使用するとこれらは毒性が強いので体調を崩す場合が多いのでこまめに掃除することが極めて重要である。
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