(1) |
極力不活性なインサートライナーや装置を使用する。
吸着点である残存シラノールを極力排除したものを使用します。また、注入口での吸着などはインサートライナーの上下の金属部分で起こる事も有るので、インサートライナーのみでなくこれらの金属部分も定期的に洗浄する必要もあります。また、GC/MSにおいては、インサートライナーのみならず、イオン源での吸着の場合も有ります。直線を示していた検量線が、2次曲線的になった場合は要注意です。イオン源も定期的に洗浄する必要があります。また、機器での「マトリクス効果」だと思っていたことが、オートサンプラーの試料瓶に吸着を起こしていたといったことも有るので機器にまつわる全てで注意が必要とされます。 |
(2) |
マトリクス効果が出なくなるまで食品成分を除去する精製を行う。
極力精製を行った試料溶液は機器への負担(汚す原因)が減りますので最も推奨されるものです。ただし、コストと労力が必要となりますし、一斉分析などは精製度を上げるのは非常に困難です。 |
(3) |
マトリクス効果が出なくなるまで試料溶液を希釈する。
簡易で効果が得られます。ただし、当然ですが、機器感度との兼ね合いとなります。測定対象物質の機器感度が高い場合に限り有効です。 |
(4) |
試料溶液を溶媒として標準溶液を作る。
標準溶液も同様なマトリクス効果が出るので大変有効です。ただし、標準溶液のために試料溶液を作らなくてはならず煩雑です。同様の効果を簡易に得るためには起爆注入(標準溶液を注入する前に試料溶液を注入する)を行う方法や擬似マトリクスとして、数百mg/Lのポリエチレングリコール溶液を使用する方法があります。 |
(5) |
サロゲート物質(農薬と同じ構造だが、H(水素)をD(重水素)、 (炭素)を (炭素)の同位体に置き換えて作製された標準品)を使用して補正する。
最も有効な方法です。基本的には全ての現象が補正できることになります。しかしD置換体のサロゲートは時折、前処理やGC注入時にDがHに変化してしまう場合もあります。サロゲートとしての安定性や挙動の類似度はD置換体よりも 置換体の方が一般的に良いと思います。サロゲート物質は非常に高価で有ることが難点です。 |