財団法人 食品分析開発センター SUNATEC
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食品の官能検査について
財団法人日本品質保証機構 JIS認証事業部 特別参事 遠藤洋一
 昨年、海外製土鍋から鉛が溶出し、取り扱ったホームセンターが自主回収を行った報道は記憶に新しいことでしょう。この事例は、当該土鍋が食品衛生法における容器包装に該当し、鉛やカドミウムといった有害物質の溶出基準が定められていたにもかかわらず、当該土鍋に当該基準を超える鉛が含まれていたことが原因でした。
1.日本工業規格(JIS規格)と食品衛生法
 JISマークは、JIS規格への適合性が確認された様々な鉱工業製品に表示されています。JIS規格では、製品の種類、品質、安全性およびこれらを担保するための試験方法が定められており、例えば食品を詰める缶詰の材質や、食品を盛りつけたり、調理に利用したりする陶磁器製耐熱食器、ボーンチャイナ等についてもJIS規格が制定されています。また、これらの調理用器具に係るJIS規格では、有害物質に関して「食品衛生法」を引用し、製品や素材を利用する消費者や製造事業者に安全を提供する事につとめています。
  工業標準化法が平成16年6月に改正され、これに伴いJISマーク表示制度も今までの工場認定制度から製品認証制度に変わりました。同時に、当財団を初め、国の登録を受けた登録認証機関が、対象製品の適合性を評価(製造工場の品質管理体制の審査及び製品試験)し、認証する制度に変わりました。また、これまでの製品を製造する事業者に加え、製品を販売する事業者、製品の輸入を行う事業者も認証を取得できるようになりました。JIS認証を受けた製品であれば、JIS規格で定められた品質を持ち、安全性が担保された製品の証としてJISマークを表示することができます。
2. ガラス製、陶磁器製・ホウロウ引きの器具・容器包装の規格基準
 食品衛生法およびその関連規則は、食品自身の他に、食品添加物、容器包装と多岐にわたって規定しています。労働安全衛生法と並んで難解な法律の一つで、メーカーの皆さんの遵守に対する姿勢に敬意を表します。
 本稿では、日用品のJIS規格である陶磁器製耐熱食器(JIS S 2400-2000)を基に、業務用や家庭で供される食品とは切っても切り離せない、器(うつわ)・調理器具についての鉛・カドミウムの溶出基準について説明します。
 ガラス製、陶磁器製・ホウロウ引きの器具・容器包装の規格基準が、ISO(国際標準機関)の規格に準拠するため、鉛およびカドミウムの溶出規格が細分化され、より厳格化されました。表1に改正された規格を示します。対象となる容器がどの範疇に入るのかは、実際に試験を実施している(財)食品分析開発センターSUNATEC様を初めとする第三者検査機関、都道府県の試験機関、保健所等の行政機関にお尋ねいただくと、より正確な情報が得られます。
表1. ガラス製、陶磁器製・ホウロウ引きの器具・容器包装の規格基準
 今回、規格で大きく変わった点は、土鍋やグラタン皿のような「加熱用調理器具」というカテゴリが新たに追加されたことです。当該規格改正の背景等については厚生労働省の「器具・容器包装、おもちゃの規格改正等に関する意見交換会(平成20年12月9日)の開催結果」をご参照願います。

 次回は、ここに提示された資料とも重複しますが、加熱調理とはどのようなことを指すのかといった個々の事例やガラス製、陶磁器製・ホウロウ引きの器具・容器包装以外のものについて若干の説明をしたいと考えております。
財団法人日本品質保証機構(JQA)
 日本品質保証機構(JQA)は、昭和32年(1957)、輸出検査法による指定機関として「財団法人 日本機械金属検査協会(JMI)」設立(通商産業大臣認可)。平成5年(1993)、国際的なニーズに対応する総合的な第三者認証機関として、「財団法人 日本品質保証機構(JQA)」と名称変更され、現在に至っています。
  ISO9001、14001に代表される各種マネジメントシステム規格に基づく審査登録をはじめとし、電気製品や機械製品等の安全性・性能・電磁環境特性等に関する認証・試験、計量計測器の校正・検定、JISマーク表示制度に基づく製品認証及び地球温暖化対策や環境保全に関連する審査・検証など、幅広い分野で信頼性の高いサービスを提供しています。
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