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サルモネラ属菌について
1 概 論
 サルモネラ属菌は、先月号でご紹介した黄色ブドウ球菌と同様に食中毒起因菌のひとつです。サルモネラ属菌は、主に哺乳類、鳥類、爬虫類などの陸上動物の腸内を主な住処としていることから、食中毒の主な感染源はヒトを含む動物であるといえます。
 このことから、主な食中毒原因食材として、食肉(特に鶏肉)及びその加工品、鶏卵、牛乳をはじめとして、これらに二次的に汚染された食材などが挙げられます。また、食中毒の発生原因となる施設として、仕出し、学校、病院、会社などの給食、家庭、飲食店など多岐に渡ります。
写真-1及び2 食中毒原因食材の一例(生卵、生肉)
2 検査方法
 食材25g(25ml)を緩衝ペプトン水やEEMブイヨン培地などの非選択性培地で前増菌培養した後、ラパポート・バシリアディス(RV)培地、ハーナ・テトラチオン酸塩培地などで選択増菌培養を行います。なお、前増菌培養を行う理由として、汚染菌数が少ない場合や損傷菌修復などを考慮し、サルモネラ属菌の検出率を高めるために実施します。
 選択増菌培養後の培養液をMLCB寒天培地、XLD寒天培地、DHL寒天培地などの選択分離培地に塗抹培養後、疑わしい集落について出来るだけ多く釣菌し、TSI培地、SIM培地、LIM培地、VP-MR培地、リシン脱炭酸テスト用培地を用いて、鑑別同定を行います。
写真-3 DHL寒天培地上の集落
写真-4 鑑別同定試験の結果(左:TSI培地、右:リシン脱炭酸テスト用培地)
3 食中毒の予防
 サルモネラ菌は、比較的熱に弱く70℃、数分の加熱で死滅することが知られていることから、肉類の生食を避け、加熱処理を十分に行うことが食中毒を防止する上で有効であると考えられます。
 また、サルモネラ属菌が食中毒を発症させる菌数は、ヒトの健康状態や食品の種類により様々ですが、数10、あるいは10以下のサルモネラ属菌の摂取でも発症の原因となる可能性があるため、本菌の管理には十分に注意を払う必要があると考えられます。
 本菌による食中毒の予防も含め、衛生管理手法に関して熟知した食品衛生コンサルタントに相談されるのも有効であると考えられます。弊財団においても食品衛生コンサルティング事業を展開しております。是非ご利用下さい。
参考文献
1) 食品衛生衛生検査指針 微生物編 2004、(社)日本食品衛生協会
2) 食中毒の科学、本田武司 著、裳華房
3) 食品微生物の科学 食品微生物T 基礎編 清水潮 著
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