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糞便系大腸菌郡及び大腸菌について
1.概論
 糞便系大腸菌群及び大腸菌は、SUNATEC e-Magazine vol.027 2008/06/01(SUN)で解説した「大腸菌群」と同様に、糞便または腸管系病原菌の汚染指標として、よく用いられています。大腸菌群(グラム陰性の芽胞を形成しない桿菌で、48時間以内に乳糖を分解して酸とガスを産生する好気性または通性嫌気性と定義される細菌の一群)のうち、44.5℃で発育し、乳糖を分解してガスを産生する細菌の一群のことを糞便系大腸菌群、糞便系大腸菌群のうちインドール産生能(I)、メチルレッド反応(M)、Voges-Proskauer反応(Vi)及びシモンズのクエン酸利用能(C)の4つの性状試験(いわゆるIMViC試験:インビック試験)において「++−−」に合致する細菌の一群を大腸菌といいます。この大腸菌は、細菌分類学上の大腸菌(Escherichia coli)とは異なる食品衛生細菌学上の用語です。
 なお、大腸菌(E.coli)であることを確認するために実施するIMViC試験は、比較的煩雑な試験であるため、このIMViC試験を行うことなく大腸菌の存在を推定するために考案されたのが糞便系大腸菌群で、この検査内容を反映させた規格試験として「食品、添加物等の規格基準」にある生食用カキ、食肉製品各種、冷凍食品の一部が該当します。
2.検査方法
 糞便系大腸菌群及び大腸菌の一般的な検査方法は次の通りです。試料そのもの及び/又は試料抽出液をEC発酵管に指定量添加、混合し、44.5±0.2℃、24±2時間培養します。培養後、ガスの発生が確認された発酵管から、1白金耳量をEMB寒天培地に塗抹培養後、さらにその1白金耳量をLB培地に接種し35℃、24〜48時間培養後ガス及び酸の発生が確認され、かつ大腸菌群の生化学的性状(グラム陰性無芽胞桿菌)に一致した場合、糞便系大腸菌群「陽性」と判定できます。
 また、糞便系大腸菌群「陽性」と判定されたものについて、上述の「IMViC試験」を行い、「++−−」の性状に一致した場合、大腸菌「陽性」と判定されます。
写真-1〜2 左:培養後のEC培地、右:IMViC試験の結果
3. 結果の解釈

 糞便系大腸菌群及び大腸菌は、一般細菌数、腸球菌、大腸菌群などと同様に汚染指標菌の一つであり、より適切な環境でより安全性が高い食品を生産するための環境衛生管理上の指標として用いられており、主な検査対象は、生肉、生野菜、生鮮魚介類などの未加熱食品です。大腸菌が検出されることは、比較的新しい糞便汚染を受けた可能性が示唆され、また、大腸菌群による汚染よりも、より不潔な扱いがなされたことが推測されます。

参考文献
1) 食品衛生衛生検査指針 微生物編 2004、(社)日本食品衛生協会
2) 微生物殺菌実用データ集、(株)サイエンスフォーラム
3) 食品微生物の科学 食品微生物T 基礎編 清水潮 著
4) 食品衛生管理における微生物検査の重要性、小久保彌太郎、月刊フードケミカル、11、pp24-30(2006)
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