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加工食品の表示について(第二回)
金城学院大学 薬学部 岡 尚男
(5) 期限表示
 すべての加工食品は、原則、期限表示を記載することになっています。ただし、期限表示と保存方法の省略が認められている品目がいくつかあります。
 賞味期限とは、スナック菓子、即席めん類、レトルト食品、牛乳、缶詰等、定められた方法により保存した場合において期待されるすべての品質の保持が十分可能であると認められる期限を示す年月日をいいます(概ね5日以上)。ただし、当該期限を超えても、ある程度の品質は保持されています。
 消費期限とは、弁当、生めん、調理パン(サンドイッチ)等、定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗、その他品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいいます(概ね5日未満)。従って、消費期限を過ぎた食品は急速に劣化するおそれがあります。
 ただし、一度開封した食品は、期限表示に関わらず、できるだけ早く消費する必要があります。
(6) 保存方法
 保存方法の基準が定められている食品は、その方法を期限表示に出来るだけ近接して記載します。その他の食品でも、すべての品質を保つために必要な一定の保存方法を具体的に記載します。常温保存の場合は、保存方法を省略できることになっています。
(7) 製造業者等
 製造者等の電話番号、ホームページアドレス等の表示が可能となりました。ただし、商品の説明書きや宣伝文句等は、枠内に表示できません。製造者の場合は、原則として製造者氏名(法人の場合は法人名)、製造工場の所在地を記載します。
販売者での表示をする場合は、販売者氏名・所在地と製造者氏名・所在地を併記する(※)か、製造所固有記号を用いる必要があります。輸入食品の場合は、「輸入者」として輸入業者の氏名及び営業所所在地(法人の場合は本社所在地)を記載します。(※)この場合、販売者、製造者のいずれかはJAS法に基づく一括表示の枠外に記載する必要があります。
 なお、製造者と販売者については製造所固有記号を使用することができます。
→ 固有記号
   製造者氏名・所在地の代わりに、あらかじめ厚生労働大臣に届け出た製造工場を表す記号を表示するものです。製造所固有記号に使える文字は、アラビア数字、ローマ字、ひらがな、カタカナです。
 製造者表示(自社工場)の場合と販売者表示(製造所)の場合があります。
(8) アレルギー物質を含む食品の表示
 容器包装された加工食品、添加物に、アレルギー物質を含む特定原材料の5品目(小麦、そば、卵、乳、落花生)が含まれる場合には、省令で表示が義務づけられました。また、特定原材料に準ずるものとして20品目(あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)について、通知により表示が奨励されています。
(9) 遺伝子組換え食品の表示
 大豆(枝豆、大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜の7農作物及び豆腐・油揚げ類、納豆、みそ、きな粉、コーンスターチ、とうもろこし(調理用)を主な原材料とするもの、冷凍ばれいしょ、アルファルファを主な原材料とするもの、てん菜(調理用)を主な原材料とするものなど加工食品32食品群について、遺伝子組換え食品である場合には、その旨の表示が必要です。
 なお、「遺伝子組換えでない」というのは任意表示であり、本来は表示する必要はありません。
(10) 栄養成分表示
 栄養成分の量や熱量について表示をする場合には、栄養表示基準により定められた標準的な表示が義務付けられています。
3.今後の動き
 
 今後、『高リシンとうもろこし及びその加工品』が遺伝子組換え表示対象品目に、『えび』及び『かに』がアレルギー物質を含む食品の特定原材料として追加することが検討されています。
 また、監視体制を強化するために、JAS法の不備の見直しとして、食品卸業者なども取り締まれるよう対象を拡大することや、食をめぐる不正を専門的に監視する「食品表示特別Gメン」の新設も検討されています。
 なお、表示に関しては、例外等もありますので、詳細は厚生労働省、農林水産省、公正取引委員会の相談窓口、または、各自治体の担当窓口へお問い合わせください。
 
国内で製造された加工食品(アレルギー物質を含む)の表示例
名称 豆菓子
原材料名 落花生、米粉、でん粉、植物油、しょうゆ(大豆・小麦を含む)、食塩、砂糖、香辛料、
調味料(アミノ酸等)、着色料(カラメル、紅麹、カロチノイド)
内容量 100g
賞味期限 07.10.1
保存方法 直射日光を避け、常温で保存してください。
製造者 東京都千代田区霞が関1−2−1
○○○食品株式会社 AK
筆者略歴
岡 尚男(おか ひさお)
【勤務先・職】 金城学院大学薬学部 教授
【最終学歴】 名城大学薬学部(1970年)
【学位】 薬学博士(1986年)
【職歴】 愛知県豊橋保健所(1970年)
愛知県衛生研究所(1972-2005年)
【留学】 米国国立衛生研究所(NIH、1988-89年、一年間)
【受賞歴】 昭和62年度日本薬学会東海支部学術奨励賞(テトラサイクリン系抗生物質の化学的
分析法に関する研究)
平成9年度年度日本食品衛生学会奨励賞(逆相クロマトグラフィー及び質量分析法
の食品分析への応用)
【主な研究領域】 汎用抗生物質の化学的分析法の検討
向流クロマトグラフィーに関する研究
衛生化学分野におけるLC/MSの応用研究
【主な著書】 Current Issues in Regulatory Chemistry 共著 2000 AOAC INTERNATIONAL
Encyclopedia of Separation Science Vol.5(?) 共著 2000.5 Academic Press
日本薬学会編 衛生試験法・注解 2005 共著 2005.3金原出版 
第十五改正日本薬局方解説書 共著 2006 廣川書店
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