におい成分の捕集には、成分や検体の特性などにより幾つか手法があります。以下に代表的な捕集の方法を示します。
(1)蒸留法や溶媒抽出法は、試料を蒸留、または溶媒抽出をすることにより試料からにおいの成分を抽出・濃縮します。しかし、その過程で成分が変化したり、においのバランスが狂ったりして、抽出物のにおいが元の試料のにおいと異なってしまう危険性があります。
(2)ヘッドスペースガス分析法は、気-固、気-液の平衡蒸気(ヘッドスペース)を捕集し分析する方法で、低沸点化合物や、他の手法では抽出されにくい成分に有効です。試料を入れた容器の上部空間に存在するガスを分析するので、実際に人間が嗅ぐにおいに近い成分組成を測定可能であると考えられます。におい成分の捕集方法によりスタティックヘッドスペース法とダイナミックヘッドスペース法に分類されます。
(3)ヘッドスペース収着抽出(head space sorptive extraction : HSSE法 )は、ポリジメチルシロキサンを固定相としてコーティングした攪拌子を、試料を入れた密閉容器に固定して成分を吸着させ、分析します。試料中の成分が抽出されると共に濃縮されるので、感度良く測定することができます。 |