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ミルクコーヒーやカスタードクリームなど、乳化食品の油脂の分散状態は、その乳化粒子の大きさの分布及びその変化を計測することが直接的な方法としては最も一般的であり、油脂の乳化粒子径を均一に小さくすれば、乳化安定が増す傾向になるといわれている。一方、おいしさの要素であるコクなど脂肪感は、粒子径だけはなくその分布も重要であり、プロのシェフが作るドレッシングなどの乳化食品において、そのおいしさは、乳化粒子の分布の広さにあるともいわれている。
乳化状態をIRイメージング(2次元赤外分光分析)で観察した場合、従来の乳化粒子の大きさの分布計測とは異なり、油脂の分布の粗密度合い(不均一性)を計測することが可能であり、さらに、蛋白や多糖類の乳化への関与を分析することも可能となる。
図1は、IRイメージングによる食感の異なるカスタードクリームの脂肪の分布比較で、濃厚と感じられるもののほうが、油が不均一な分布と考えられる。乳化食品において乳化粒子がどのような分散になっているかが可能になると、その情報から、例えば、匂いの出方や濃厚感などの乳化が影響するおいしさの制御が可能になると考えられる。 |
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図1 食感の異なるカスタードクリームの油のIRイメージング分析(左:濃厚感大、右:濃厚感小) |
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近年、食に対する健康意識が高まり、低脂肪食品が多くなっている。単に脂肪量を減らすだけでは、脂肪が要因となるボディー感やコクなどのおいしさも低下する。低脂肪食品においても、脂肪を如何に分散させるかで、ボディー感やコクなどのおいしさに大きく影響すると考えられる。IRイメージングの分析結果より、乳化粒子を大きく、不均一にすることは、非常に不安定な乳化となり好ましくない。乳化粒子の分布を制御し、分布の密度差より脂肪が要因となるボディー感やコクなどのおいしさを向上されれば、おいしさと安定の共存する乳化食品が可能であるということになる。 |
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