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表-1 抗酸化指標
測定法 原理 測定機器 特徴 対象
ORAC ORACは水素原子移動メカニズムを原理とし、連鎖切断型の抗酸化剤の活性を直接測定する。検体、又はTrolox(スタンダード)に蛍光プローブを添加し、さらにラジカル活性剤を加えた際の蛍光強度の変化でORAC値が算出される。濃度既知のTroloxでの量(マイクロモル当量)に換算して示される。 蛍光
プレートリーダー
長所 水溶性、脂溶性のどちらのサンプルも測定できる。一回測定で抗酸化作用の持続時間とその力価を合わせて評価できる。実験操作が容易である。 食品
(水溶性及び脂溶性)
短所 AAPHは温度感受性のラジカル発生剤であるため、反応温度により測定結果に影響が出る。抗酸化作用を有するβ-カロテンや不飽和脂肪酸はその反応の機序が異なるため、測定できない。
DPPHラジカル消去活性 安定な有機ラジカルであるDPPH・と抗酸化物質との反応によるDPPH・の吸光度(520nm)の低下を分光光度計により測定し、ラジカル消去能を評価する。濃度既知のTroloxでの吸光度に対する相対値として算出する。 分光光度計 長所 測定が簡便であり、食品分野では汎用されている。分光光度計があれば測定可能である。 食品(水溶性)
短所 DPPH・は生体内には存在しないラジカルである。サンプルとDPPH・の吸光度が重なると測定できない。抗酸化物質の中にはDPPH・と反応しない化合物がある。
FRAP 抗酸化物質存在下でferric-tripyridyltriazine( )が還元され、生成されたferrous-tripyridyltriazine( )の吸光度(593nm)を一定の時間測定し評価する。濃度既知のTroloxでの吸光度に対する相対値として算出する。 分光光度計 長所 簡便で、使用機器や試薬が安価である。また、血清や植物の抗酸化能分析に適している。 生体内試料
短所 サンプルによって反応時間が異なる。チオール基(- SH)を有する化合物(グルタチオン、タンパク質)では反応時間が長期となり、測定に不向きである。また、測定しているのは還元力であり、反応機構と生理学観点から抗酸化力とは関連しない。
TRAP AAPH由来のペルオキシラジカル(ROO・)と標識物質であるルミノール(luminol)から生成される酸化ルミノールの蛍光強度上昇が生じるまでの上昇時間を測定することに基づく。       
抗酸化物質存在下では、AAPH添加から酸化luminolの光度上昇が生じるまでの上昇停滞時間(lag phase)を生じることから、濃度既知のTroloxでのlag phaseに対する相対値として算出する。
蛍光光度計 長所 in vivo、血漿、血清の抗酸化能測定に利用される。
lag phaseから抗酸化能を算出するため、反応液中の抗酸化物質濃度を下げることで測定時間を短縮できる
生体内試料
短所 lag phaseの終点が研究機関で異なり、他の測定データと比較できない。
また、lag phaseを有さない抗酸化物質には対応できない。
SOD様活性 キサンチンオキシダーゼをヒポキサンチンに作用させて生成する、スーパーオキシドラジカルを標識物質で検出する。標識物質の生成を50%に抑制するときの抗酸化物質の濃度IC50を活性評価に利用する。 ESR装置
or
分光光度計
長所 生体内で生じる活性酸素種の基となるスーパーオキシドラジカルの消去能を測定できる。 食品(水溶性)
短所 水溶性の化合物以外測定できない。対象となる物質に応じて方法を選ぶ必要がある。ESR法は特異性と感度は良いが、装置が大型で高価である。
β−カロテン退色法 リノール酸が自動酸化されて生じるリノール酸過酸化物を、β−カロテンと一定時間反応させて減少するβ−カロテンの490nmでの吸光度を測定する。抗酸化物質存在下での吸光度から、同じ吸光度を示すBHA濃度に換算する。 分光光度計 長所 短い反応時間で測定が可能。少量の試料で済む。一度に数点の試料を測定可能。 食品
短所 再現性が低い。 β−カロテンと同じ吸光度の化合物は測定できない。リノール酸過酸化物は界面活性剤で乳化された状態で存在するため、抗酸化物質と界面活性剤との親和性によって反応の影響を受ける。

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