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第8版食品添加物公定書改定について
食品添加物公定書の法的根拠
 食品に化学合成品などを添加することは全面的に禁止されていますが、厚生労働大臣が認めたものは「食品添加物」として使用しても良いことになっています。しかし、厚生労働大臣が許可した物質であれば、どんなものでも使用して良いかというと、使用する物質が確かなものでなければなりません。食品添加物として使用するための約束事が記載されているのが、食品添加物公定書ということになります。
 食品添加物公定書はその物質が本当に目的物質かの確認試験、純度試験、定量法などが記載されており、それらの各項目に合格したものでなければ使用できないことになっています。
 食品添加物公定書の法的根拠は、食品衛生法が昭和22年に制定され、その第4条において「食品添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」とされています。同法第11条第1項に、厚生労働大臣は、販売の用に供する食品添加物について、製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法について基準を定めること、及び、販売の用に供する食品添加物の成分について規格を定めることができるとされている事が根拠になっています。また、厚生労働大臣は、販売の用に供される添加物に関する表示について、必要な基準を定めることができるとされており、法第11条第1項に基づく食品添加物の規格基準については、「食品、添加物等の規格基準」において、通則、一般試験法、試薬・試液等、成分規格・保存基準、製造基準及び使用基準が定められています。
 食品添加物公定書は、法第21条の規定に基づき、法第11条第1項の規定に基づく食品添加物の規格基準、及び、第19条第1項の規定に基づく食品添加物の表示基準を収載することとされています。
食品添加物公定書改訂の歴史と第8版の特徴
 食品添加物公定書は昭和35年に初版が刊行され、概ね6〜7年に一度改訂されています。その都度食品添加物の安全性が確認され、効果が認められ、消費者のためになるものであれば許可されます。徐々に品目数は多くなってきました。
 前回の食品添加物公定書は平成11年に第7版が刊行されました。第7版の特徴は、72品目の既存添加物が指定されたことにあります。それに続き第8版は新規収載品目として既存添加物では甘味料はステビア抽出物など7品目、着色著料はクチナシ青色素など10品目、保存料としては白子タンパク抽出物など3品目など合計で64品目が収載されました。
 新規指定添加物としてはスクラロース、アセスルファムカリウムなどの甘味料の他に次亜塩素酸水、ステアリン酸マグネシウム、亜酸化窒素など22品目が規格改定や新たに収載されました。なかには、消除された添加物もあり、第8版では指定添加物では347品目となりました。収載品目が、原体で486品目、製剤で19品目程度になります。
食品事業者が注意すべき事項
 第8版の改正点の大きな改訂箇所は上述した通りですが、例えば新規収載既存添加物の化学名・化学構造式記載基準が原則として純度90%以上の場合に記載されることになりました。例えば製造用剤として許可されたシクロデキストリンはα―シクロデキストリン及びβ―シクロデキストリンについて規格が設定されるようになったことなど、改訂されているところも少なくありません。したがって第8版食品添加物公定書が発刊された場合、使用している添加物に関しては規格等に変更がないかなどを含めて確認する必要があります。
 食品添加物は安全性等について間違った内容の出版物や報道などの他に、食品関連企業のなかには意味なく”食品添加物を使用していない”事を、あたかも健康に良いような錯覚を消費者に植え付けていることもあります。消費者のなかには食品添加物が体に悪いと思いこみをしている人もいます。
 特に法律違反についてはその内容が人体に害を及ぼすか否かではなく、違反と言うだけで有害物を入れたごとくに感ずる人もいることは少なからずいるため、内容如何に関わらず、違反は絶対避ける必要があります。
食品添加物は今後増えるか
 厚生労働省は欧米先進諸国で許可し、汎用されている化学的合成品については、食品安全委員会で毒性評価をした後に、安全性が確認されたものについては許可する方向にあります。
 したがって増える要素があります。
 一方、既存添加物のなかにはいずれの企業も使用していないものもあります。使用実績が無いものについては既存添加物名簿から消除する方向にあります。
 今後、随時許可、あるいは消除する可能性もあるため、それらの動きに留意する必要があります。
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