財団法人 食品分析開発センター SUNATEC
HOME >食中毒とは?
[食中毒とは?]
食中毒とは、有毒有害な微生物や化学物質を含む飲食物を食べた結果生ずる健康障害です。多くは急性の胃腸障害(おう吐、腹痛、下痢などの症状)を引き起こします。従来、赤痢菌やコレラ菌などによる感染症は食中毒とは区別されてきましたが、1999年4月に施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症新法)において、病原物質の種別にかかわらず飲食に起因する健康障害は食中毒として取り扱われる事となりました。
細菌発育の3条件
栄養
ヒトにとって栄養となる食品は、細菌にもとっても栄養源となります。調理時の食品の残渣や汚れは細菌にとって栄養源となります。
水分
細菌は食品中の水分を利用し増殖します。多くの細菌にとって水分が20%以下では発育不能となります。
湿度
細菌によってそれぞれ発育に適した温度帯が異なります。大部分は30℃付近を好む中温性菌が占めますが、中には60℃付近の高温を好む高温性菌、冷蔵庫内(約3℃〜7℃)を好む低温性菌と呼ばれる細菌もみられます。
細菌は、上記の3条件が全てそろったときに最も発育しやすくなります。したがって、3条件のいずれかを除去することで、細菌の発育を抑制又は阻止することができます。調理器具類は、洗浄することによって「栄養」を除去し、乾燥させることにより「水分」を除去し、熱湯に漬けるなどで「温度」により細菌を除去又は死滅させることができます。しかし、通常食品中には「栄養」「水分」が含まれているため、コントロールできるのは「温度」のみとなります。そのため、食材の温度管理によって細菌の増殖を抑制したり、殺したりする必要があります。
食中毒の分類
 
食中毒を「厚生労働省の食中毒統計」により分類しますと下図のようになります。
厚生労働省の食中毒統計
【厚生労働省HP抜粋】
月別食中毒原因菌状況(2004年度)【厚生労働省HPデータより】
 
食中毒の発生件数と発生時期を、原因となった菌に分けて月次変化を見てみると、下図のようになります。
月別食中毒原因菌状況(2004年度)
夏場に多い原因菌は腸炎ビブリオやサルモネラ属菌です。反対に冬場に多い原因菌はノロウイルスです。また、年間を通して多い原因菌はカンピロバクターです。
原因菌別食中毒の発生状況(2004年度) 【厚生労働省HPデータより】
 
2004年度の食中毒の原因菌を円グラフにまとめると、下図のようになります。
原因菌別食中毒の発生状況
食中毒の原因菌として最も多い細菌はカンピロバクターで、ほとんどは牛肉・豚肉・鶏肉等の加熱不十分が原因となります。次に多いのはノロウイルスで、カキや海産魚介類等の加熱しないで食べる食品が原因となります。続いて鶏肉・卵の加熱不十分が原因となるサルモネラ属菌、海産魚介類が原因となる腸炎ビブリオが多く、これら4種類の細菌が原因となって発生する食中毒は、全件数中の約90%を占めています。
近年では、エルシニア菌やノロウイルス、サルモネラ属菌による食中毒事例が多くなってきています。
他の記事を見る
ホームページを見る

サナテックメールマガジンへのご意見・ご感想を〈e-magazine@mac.or.jp〉までお寄せください。

Copyright (C) Food Analysis Technology Center SUNATEC. All Rights Reserved.