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食中毒原因菌の種類と特徴
現在日本で食中毒原因菌に指定されているのは16種類です。以下に、主な食中毒の原因菌の種類と特徴をまとめました。
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1.カンピロバクター
特徴 微好気性菌(※1)。
室温では不安定で死滅するが、4℃付近で安定する。
カンピロバクター
潜伏期間 2〜7日
症状 腹痛・下痢・発熱
原因食品・要注意食品 食肉・加熱不十分な鶏肉
予防法 加熱調理・低温保存
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2.サルモネラ属菌
特徴 ニワトリ、豚、牛などの腸管や河川、下水など自然界
に広く分布している。日本での発症率は極めて高い。
サルモネラ属菌
潜伏期間 10〜72時間
症状 発熱・腹痛・下痢(粘血便)
原因食品・要注意食品 卵・生や加熱不十分な食肉など
予防法 加熱・迅速摂取
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3.腸炎ビブリオ
特徴 海水中に多く存在する細菌であり、3%前後の食塩濃
度でもっともよく発育する。
腸炎ビブリオ
潜伏期間 5〜20時間(増殖が早い)
症状 激しい腹痛・発熱・下痢
原因食品・要注意食品 海産魚介類
予防法 海産魚介類は真水で十分に洗う・調理器具からの二次
汚染に注意する。低温保存。
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4.黄色ブドウ球菌
特徴 耐熱性毒素(エンテロトキシン)を産生する。
(100℃10分加熱しても毒素は失活しない)
黄色ブドウ球菌
潜伏期間 約3時間
症状 吐き気・嘔吐・腹痛
原因食品・要注意食品 食品全般
予防法 手に傷がある時は手袋をすること。マスクをする。
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5.腸管出血性大腸菌O157
特徴 少量でも感染し、ヒトからヒトへの感染もある。ベロ毒素
という毒素を産生。
腸管出血性大腸菌O157
潜伏期間 2〜9日
症状 下痢・腹痛・血便・(尿毒症・意識障)
原因食品・要注意食品 生肉や井戸水
予防法 手洗い・殺菌・食材は75℃で1分以上の加熱。
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6.ウェルシュ菌
特徴 嫌気性菌(※2)で芽胞(※3)を形成する。芽胞形成時
に毒素のエンテロトキシンを産生。
ウェルシュ菌
潜伏期間 6〜18時間
症状 下痢・腹痛
原因食品・要注意食品 食肉・加熱調理食品(カレーやシチュー)
予防法 加熱調理食品の低温保存・摂食時の加熱。
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7.ボツリヌス菌
特徴 嫌気性菌(※2)。食品の保存中に増殖が起こると、
毒素が産生される。毒素は80℃30分の加熱処理で
不活化する。土壌にも分布。
ボツリヌス菌
潜伏期間 8〜36時間
症状 嘔吐・下痢・視覚・発生障害・嚥下障害
原因食品・要注意食品 嫌気状態食品(ビン・缶詰)・蜂蜜・自家製食品
予防法 十分な手洗い・洗浄・缶詰等が膨れ上がっている
食品は食べない。
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8.セレウス菌
特徴 好気性の芽胞(※3)成桿菌である。症状により嘔吐
型と下痢型の2つに分かれる。
セレウス菌
潜伏期間 8〜16時間
症状 嘔吐・下痢
原因食品・要注意食品 米や小麦などの農作物を原料とする食品に多い。
(例:スパゲッティー・ピラフ)
予防法 加熱・早めの摂食・常温放置はしない。
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9.リステリア菌
特徴 6菌種のうち、ヒトに病原性を示すのは、Listeria mon
ocytogenesのみである。耐塩性で低温でも発育可能
である。
リステリア菌
潜伏期間 24時間〜5週間(幅が広い)
症状 発熱・嘔吐・下痢(インフルエンザ様症状)
原因食品・要注意食品 乳製品・食肉・野菜・チーズ等(非加熱製品に多い)
予防法 加熱・早めの摂食・生野菜は洗浄をする。
※1:微好気性菌(酸素が3〜15%の環境下にて生存可能な菌:大気中の酸素濃度は約20%)
※2:嫌気性菌(酸素があると生存不可能な菌)
※3:芽胞(細菌の中には、乾燥,高温等によって、水分・温度といった環境条件が悪くなると「芽胞」とよばれる耐久
   器官を作り生き延びていく細菌があります。)
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